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No.310【トランシーバー】

少年時代には、よく〈トランシーバー〉で遊んでいた。当時の子供達が持っていた〈トランシーバー〉は玩具の色合が強くて、電波が届く距離は高々知れていた。「ザーザー・・〇〇くん応答ねがいます、どうぞっ!」「はいっ!ピーピー・・こちら〇〇、聞こえます...
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No.309【クレソンの葉】

若い頃、親戚の叔父さんが、どういう風の吹き回しなのか、高級レストランに連れて行ってくれたことがあった。入ったレストランは、田舎者の叔父さんにはいささか不釣り合いな店だった。僕もそんな所は初めてだったので緊張した。店内にはいかにも高級感溢れる...
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No.308【UFO】

それは小学5年生の時だった。・・・・・・・当時の校舎は木造2階建ての古いもので、僕達の教室は2階にあった。だから窓からは街全体をぐるりと囲んだ山々も見渡せた。・・・・・・・ある日の休憩時間に廊下で遊んでいたら誰かが大声を挙げた。「おいっ!空...
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No.307【彼女の風邪】

「好きな彼女の風邪の菌なら、僕も貰って風邪を引きたいなんて思ったよなぁ~」そう言うと速攻で家内に咎められた。「ダメよっ❗️今はコロナで大変なんだからねっ!そんなこと外で言ったら怒られるよっ❗️」そうか、冗談も言えないのか・・
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No.306【SNSの中の彼女】

僕は数年前からSNSを始めた。だからまだまだ初心者だ。ある日、FBが勝手に表示してくる〈友達かも?〉を見てドキッ!っとした。プロフィールの似顔絵が、昔別れた彼女だったのだ。住所や出身校を見ても間違いはなかった。そしてそこには〈既婚〉と書かれ...
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No.305【言霊】

テレビ画面にはナイター中継が映し出されている。家内と息子は野球が大好きでいつも応援しているのだが、その夜は贔屓チームが敗けていた。野球にはさほど関心がない僕はシラケた顔をして言った。「ダメじゃないか、今日は敗けだ敗けだっ!」すると熱烈なファ...
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No.304【言い訳】

家内がまた何か探し物をしている。「おい、なんか探してるんか?」「ん~ん、なんにも探してなんかいないよぉ・・・」すると息子がやって来て言った。「母さん、スマホあったよぉ❗️」
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No.303【視線の先】

従妹の娘は幼少のころから〈霊感〉が強かった。家の中でも学校でも、結構〈見える〉んだと言っていた。そんな彼女も成人して〈保育士〉になり、ある保育所で先生として働くことになった。・・・・・・・ある日の〈お遊戯〉の時間だった。お遊戯室に園児を集め...
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No.302【下着】

家内が忙しくしている時、僕は、取り込んだ洗濯物を畳んで家内の手助けをすることもある。結婚して数十年も経てば家内のパンツだって畳むのだ。別に変な趣味ではないので突っ込まないで頂きたい。その日も洗濯物を畳んでいたのだが、その中に見たこともないパ...
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No.301【沖縄の古民家】

那覇空港に降り立った家族を出迎えてくれたのは、ロビーの天井にブラ下がった〈めんそーれ〉と書かれた歓迎の看板だった。初めて訪れた沖縄は天候に恵まれて、空は透き通るように青い。そして1月だというのに気温が24℃もあって本土が真冬であることを忘れ...