No.253【面接】

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東京に住んでいた若かかりし頃、ファミリーレストランでアルバイトをしたことがあった。

当時はバブルの好景気に乗っかって、3大ファミリーレストランが三つ巴の闘いを繰り広げていた時代だった。

僕がアルバイトをしていた店は、当時の3大ファミレス中のひとつで、24時間営業をしていた。超多忙店で、都内でも数店舗しかないという、1日の売上げが200万円強の店だった。

事情があって、今日の食い物がないというような超貧乏な時の僕が、行き当たりばったりで飛び込み面接をして採用されたファミレスだった。条件などはどうでもよかった。食べることが優先なので、とにかく採用されなければならなかった。
面接をしてくれたのは店長だった。彼は履歴書にサッと目を通すとすぐに説明を始めた。

「時間帯なんですが、深夜なら空いていますねぇ・・それから、キッチンとホールの仕事があるんですけれども、出来ればホールで接客をして頂きたいんですよねぇ・・どうでしょうか・・」

僕には仕事を選ぶという考えは無かったので即答する。

「はいっ!店長のおっしゃる通りの時間帯で結構です。ホールでお願いします」

「忙しくてねぇ、毎日でも来てほしいくらいなんですけど・・」

「はいっ!休みは無くて結構です」

「あっそう!大丈夫ですか?こっちとしては助かりますけど・・・それで・・時間給なんですが」

「はいっ!店長のおっしゃる通りで結構です!」

そんな感じでアッという間に採用が決まり、結局、時間給が¥1.500―、勤務時間帯が20時~8時、休日は1ヶ月間無しで明日から来い、ということになったのだった。¥1.500―の時給なんて当時としては破格なのだ。

現在なら、即、労働基準監督署に目をつけられるような話なのだが、あの頃は実に朗らかな時代だったのである。

こうして、未知の業種での僕のアルバイト生活が始まったのであるが、それは生半可な気持ちで務まるようなものではなかった。それについては、またおいおい書いていこうと思う。

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