No.464【授業参観】

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長男が中学の時、1度だけ授業参観に行ったとこがある。家内に、どうしてもキャンセルが出来ない約束事があったからだ。

何にでも時間に余裕を持って動く僕は、家内の「そんなに早く行かなくてもいいのに」という言葉を尻目に、その日も早目に家を出た。

・・・・・・・
さて、学校に着いたのだが、親御さん達の姿が見えない・・もう授業が始まっているのにまだ誰も来ていないのだ。

案内状の説明を見ても参観する授業や時間にも間違いはない。

廊下で突っ立っているのも変なので、教室の後ろの引戸を開けて恐る恐る中に入った。

2~3人の生徒が振り向く。

僕は黒板の前で講義している先生に軽い会釈で挨拶したのだが、恥ずかしさと緊張で〈参観〉をするどころではなかった。

10分~15分も経っただろうか、1人、また1人とお母さん方が教室に入って来はじめた。やっと独りから解放されたのだが、今度は、男が僕1人だけだという、別の緊張感に苛まれることになってしまった。後からやって来る親御さん総てが〈お母さん〉だったのだ。

目立つなんてものではないのだ。大勢のお母さん方の中に男親がたった1人・・・

《あの人、誰のお父さんかしら》

などと全員に勘ぐられては好き勝手に評価されているに違いない。いくら後悔しても、もう後の祭りだった。

・・・・・・・

「今日の参観日、緊張したよ。男は父さん独りだったんだからなぁ」

晩御飯の時にひとこと愚痴ったら息子が言うのだった。

「父さん、〇〇君のお父さん、男前って皆んなが言ってたよ~」

「当ったりメ~よ~っ❗️」

などと強がりを言いながら、問題はあくまでも、お母さん達からの評価が気になって仕方がない僕なのであった。

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