No.64【水洗便所】

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ヨットを所有している友人がいた。そのヨットは小型船舶免許で乗ることができる小さな船だった。
「今度の休みにヨットで遊ぼうかぁ?毎日暑いし、海で涼もうや」
その友人の誘いで4人の男が集まり、次の休日に遊びに行くことになった。
・・・・・・・
その日は快晴で風も適度に吹いていたので、正にヨット日和であった。
潮風と波飛沫を浴びながら船は順調に帆を張っている。
目的の小島まで半分は進んだのだろうか、そんな時ひとりの友人が冴えない顔をして言った。
「ゴメン、わし、ウ〇コがしとうなったわぁ」
「はぁ?だからさっき言っただろ、乗る前にトイレ行っとけって、ヨットにゃトイレないぞ。小島まではまだちょっと掛かるし、島まで我慢せぇよ」
ヨット所有者の『船長』があきれている。
「おい、ここをこう持ってケツだけ海に出してウ〇コせぇよ」
舳先に陣取っていたヤツが好き勝手なことを言っている。
皆んながああだこうだと言っているうちにソイツはいよいよ切羽詰まってきたらしい。
「あぁ~っ!もうダメじゃ~っ!わし、海ん中でするわぁ」
そう言うやヨットの縁に掴まりながら海に入っていったのである。
「おい、大丈夫か?」
船長は心配そうだ。
「大丈夫、大丈夫!」
そう言って肩まで海に浸かりながら、右手でヨットの端を掴んで、左手を海中に入れてなにやらもぞもぞしている。どうやらパンツを下ろしているようだ。
「ちょっとヨット止めてよ、流れがあったら出にくいわぁ」
帆が下ろされてヨットは緩やかに止まった。
面白半分に皆んながヨットから見下ろしている。
「もう、見せもんじゃないんだからな!ええ加減にせぇよ!」
そう言って下を向いて力み始めて間もなく、プカ~ッと海面にウ〇コが浮かんできた。
ウ〇コは彼の背中に向けて近づいてきたのでヨットの上の皆んなが声を挙げた。
「お~い!後ろ後ろ~っ!」
何事かと振り向いたら二個目のウンコも浮かんできた。
「わ~っ!」
パンツを上げることも忘れてヨットに上がろうとするのだがバタつく波に押されてウ〇コがさらに近づいてくるのだ。
「まだ上がるな~っ!じっとしとけ!今、帆を張ってヨット動かすからな!ウ〇コから離れてから上がれ!」
船長はそう言うと帆を張ってヨットを動かし始めた。暫く走ったあとに彼はようやく助けあげられた。

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