No.231【扇風機の恩恵】

Uncategorized




5月だというのに丸で真夏日のように暑い。堪らずエアコンのスイッチを入れた。

「えぇ~っ!もうエアコン入れてんの?今からエアコン使ったりしてたら夏はどうすんのよぉ」

案の定、家内から即クレームが入った。

「暑い時に使わんでどうするんだよ」
「電気代、バカんなんないんだからね・・扇風機出してくる!」

家内はそう言うと、倉庫から1台の扇風機を出してきた。

「はいっ!どう・・ぞっと!」
「はいはいアリガトね。じゃぁ回すぞ~」

一応家内にお礼を言ってから、本年度第1号の扇風機のスイッチを入れてみた。
忽ち、サ~~~ッっと涼しい風が吹いてきた、と思った途端に部屋中が一気に臭くなった。

「おいっ!臭いぞっ❗️・・うわっ!これカメムシの臭いじゃ~」
「ええっ?どっかにカメムシがいるんだわっ!あたしが連れてきたのかな?」

それにしても臭さが尋常ではないのだ。カメムシを探して部屋中をキョロキョロと見回しているうちに、絨毯の上に散らばっている黒いゴマのようなものに気が付いた。

「ん?・・・これは・・」

その中のひとつにボーダーラインが入った虫の腹の残骸を発見したのだった。

「わ~~っ❗️カメムシが木っ端微塵になっとるぞ~!」

扇風機の羽でミンチになったカメムシが部屋中に臭いをバラ撒いていたのだった。臭いは明くる日の朝になっても抜けなかった。

とんだ扇風機の恩恵であった。

コメント

タイトルとURLをコピーしました