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No.110【ニコルの顔】

ウチにはニコルという名前のセキセイインコがいる。ニコルは寂しがり屋なので、1人(1羽)残して外出する時には、灯りを点けてラジオを鳴らして出るようにしている。「ニコル!行ってくるよ。いい子にして待っててよ!」家内が話し掛けている。「1人んなる...
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No.109【とばっちり】

高速道路のSAでトイレ休憩をしたのだが、男子小用トイレは先客でいっぱいになっていて、1ヶ所だけしか空いていなかった。まさか、男子小用トイレで隣の人から覗かれたりするわけではないのだが、出来るだけ左右に人がいない便器を使いたいのが男の心情だ。...
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No.108【少年の心】

少年達は小動物を捕まえては悪戯をした。特別に〈可愛がられた〉のがカエルである。カブト虫やクワガタ虫は本当に可愛がられたのだが、ことカエルに関しては、可愛がられ方の意味が全く違っていた。・・・・・・・それは、こんな按配であった。捕まえた殿様ガ...
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No.107【最中】

最中が好きだ。最中には種類がある。〈粒餡〉と〈こし餡〉があった。《よしっ❗️たまには〈こし餡〉にしてみよう!〉〈こし餡〉を食べる。やっぱり〈粒餡〉にしとけばよかったと後悔する。
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No.106【縄暖簾の居酒屋】

若い頃によく呑みに通った居酒屋は〈モツの煮込〉が名物の店だった。東京北区滝野川のアパートの前の細い路地を出たところにその店はあった。入口には縄暖簾が垂れ下がっているので、文字通りの、いわゆる「縄暖簾」である。店は中年の大将と女将さんの2人で...
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No.105【酔っ払い】

若い頃はよく酒を呑んだものである。その夜もヘベレケになってタクシーに乗ったのだが、途中で気持ちが悪くなってきた。吐きそうだ。「運転手さん!どっか空き地があったら停めて下さい!」「どうしました?」「・・吐きそうなんです、すいません・・吐いたら...
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No.104【戦争ゴッコ】

小学校の裏手には小高い山があって、そこはちょっとした公園になっていた。春になると沢山の桜が咲いて花見客で賑わい、夏になるとカブトムシやクワガタムシが獲れた。秋には木々が紅葉し、冬になって雪が積もるとミニスキー場にもなったので、その公園は老若...
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No.103【プジョーな女】

友達がクルマを買ったというので、彼女はそれを見せてもらった。「プジョー205」というフランスのクルマだった。なんだか日本車とは違ったデザインや雰囲気に、彼女はすっかり心を奪われてしまった。「これカッコいいわねぇ!外車でしょ?」「うん!フラン...
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No.102【カブ】

小学生の時である。日曜日に友達数人で中学校のグラウンドに遊びに行った。グラウンドでは高校生のお兄ちゃん達3人がカブ(HONDA―スーパーカブ号)に乗って遊んでいた。当時は自家用車の普及もまだまだで、バイクでも珍しいような時代だった。世相は実...
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No.101【フルートの恩】

若い時は大体が貧乏である。私も例外ではない。では、今はどうなんだと問われれば、無論、今もそうである。・・・・・・・・その当時、私は東京北区滝野川の安アパートに住んでいた。アルバイトで稼いではいたのだが、給料日前にもなると、決まって金欠病にな...