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No.39【アジフライ】

少年時代、川では魚がよく釣れた。鯉、ハヤ、うなぎ、ウグイなどなんでも釣れた。ウグイにいたっては、パン屑で30cm以上のものが馬鹿みたいに釣れたので、地元の人間はウンザリしていて、まず食べることはなかった。ある日の晩御飯のオカズが「アジフライ...
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No.38【好きなもの】

幼稚園の母親参観日でのことである。教室では母親たちが我が子を愛おしそうに見守っている。「は~い!今日はみなさんのお母さん方がきてくださってますよ~!よかったわねぇ。今日は先生がみなさんに好きな食べ物をききま~す。きかれたら大きな声で答えまし...
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No.37【スカウト➁】

東京で暮らし始めてから、私はすぐにファミリーレストランでアルバイトを始めた。店長が深夜勤務の時間帯なら採用できるというので、若かった私は体力には自信があったし、時給の高さにも惹かれて深夜勤務のその店を選んだ。数ヶ月が経って仕事にもなんとか慣...
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No.36【スカウト①】

憧れの東京生活を始めた若い頃のことである。その日は、かねてから行ってみたかった歌舞伎町に行ってみた。ひとりなので夜は怖いから昼間だ。新宿コマ劇場の前にある、丸い花壇の周りの石に座って休んでいたら、誰かにトントンッ!と肩を叩かれた。顔を上げる...
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N0.35【百円札】

僕が中学生の頃には、まだ板垣退助の百円札が流通していた。無論、現在の100円玉よりも風格も価値もあった。当時、子供が百円札を持っていると相当リッチな気分になったものである。「ジャ~ン!キレイじゃろ!」三時限目が終わった休憩時間に、ひとりの友...
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No.34【表現の自由】

脱水が終わってスイッチが切れたのに脱水ドラムがしばらく回るのを見て「洗濯機が暫時まわります」脱水が終わった洗濯物を物干し竿に干す時に竿に頭をコツンとぶつけて「高度の目測を誤りました」と言うおばちゃんがいた。普通に言いなされ!
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No.33【外車】

私は若いころ楽器店に勤めていた。その日は他の従業員は営業で外に出ていたので、社長と私と二人で店番をしていた。するとガラス越しに見える表通りに、彩やかな緑色の見慣れぬ形のクルマが店側に横付けして停車し、中から馴染み客の青年が降りてきた。この青...
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No.32【お宝】

部屋の整理をしていたら、古いソフトビニールの怪獣が出てきた。ひょっとすると、これは高値が付くかもしれない。過日、リサイクルショップをウロついていたら玩具コーナーに色んなソフビが並べられていた。《あっ!同んなじ怪獣がいる!》ウチにある怪獣と同...
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No.31【名案】

小学校の同じクラスに釣りが大好きな友達がいた。子供のくせに釣りに関する技量と経験はたいしたもので、よく大物を釣った自慢話をしていたものだ。ある日、近くの川でそれはデッカイ鯉が釣れたという噂が立ち、釣り人魂を刺激されたその友達は僕を誘ってきた...
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No.30【節約】

夫婦でスーパーに買い物に出た。主婦の買い物に付き合うと、案の定、旦那は待たされる。男にはどれでも同じに見えるのに、家内はなんども手にとっては商品を物色する。いよいよ決まったのかと思いきや買うのを止めてしまったりもする。「どれでも同んなじだろ...