No.262【義姉の出産】

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家内の兄夫婦に初めて赤ちゃんが生まれた時のことである。

安定期も過ぎて、いよいよ出産も近づいてきたある日のことだった。エコー検診で、赤ちゃんの首に臍の緒が巻き付いていることが判明した。

予定日まではもう少し日があったので、暫くは様子を見てみようということになったのだが、どうも臍の緒が外れる気配はなかった。

このままの状態で自然分娩をすることは危険だった。臍の緒が赤ちゃんの首を締め付けてしまう可能性が高いのだ。だから医師からは帝王切開の可能性も示唆されていた。

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予定日よりも少し早いある日の午後に陣痛がきた。臍の緒の件があったので、同居していた義母は動転してしまってすぐにタクシーを呼んだのだった。

暫くしてタクシーが到着する。

嫁をタクシーに乗せると義母が行き先を告げた。

「運転手さん!急いで〇〇病院までお願いします❗️このまま生まれたら危ないんですっ❗️」

するとタクシーの運転手が言うのだった。

「お母さん!病院は目の前ですよ!歩いてでも行ったほうが早かったでしょう」

そうなのである。道路を隔てた向かいに、掛かり付けの〇〇総合病院があるのだ。歩いて1分だ。あまりにも慌てた義母はそんなことも忘れてタクシーを呼んでしまったのだ。

タクシーはアッと言う間に病院に着いた。

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生まれたのはその日の夜になってからだった。
ともあれ、帝王切開で元気な女の子が生まれたのであった。

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さて、その義兄義姉夫婦には、実は結婚前から、野球チームが作れる程に沢山の子供が欲しいという途轍もない〈夢〉があったのだが、初産が帝王切開だったのでそれを諦めた、のかと思いきや、次々に子供を授かって、それも、後の8人全員は自然分娩で、合計9人の子供を産み切ったのであった。

但し、9人の内の6人が女の子、3人が男の子だったので、野球チームを作ることだけは叶わなかった。

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現在、成人した姪っ子と甥っ子達は次々に結婚し、義姉夫婦は賑やか過ぎる程の生活を送っている。

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