No.274【奇特なPORSCHE】

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クルマを運転していた。

離合がギリギリくらいの道に差し掛かった時、前から〈PORSCHE〉がやって来た。〈PORSCHE〉にしては背が高い。それは〈PORSCHEカイエン〉であった。

どうにも離合は難しい。チョッとニラメッコをした後〈PORSCHE〉に忖度した僕はバックして路地に入ろうとしたのだが〈PORSCHE〉のほうがバックをし始めたのだ。こっちは普通の国産車だ。

なのに〈PORSCHEカイエン〉がバックして道を譲ろうとしているのだ。正直驚いたのである。

狭い道で〈PORSCHE〉と鉢合わせになることも珍しいが、その〈PORSCHE〉がバックしてまで道を譲ってくれるとは驚きだった。

間違っていたら謝らなければならないが、経験上、1.000万円クラスの高級車が、威圧は掛けてきても、バックしてまで道を譲るなんて、殆んど見たことがないのだ。

スレ違う時に軽くクラクションで挨拶をしながら〈PORSCHEカイエン〉の運転手の顔を見たが、実に穏やかそうな紳士たる風貌であった。

この人には〈PORSCHE〉に振り回されないだけの器がある。要するに〈PORSCHE〉に乗っているのであって、決して乗せられてはいないし支配されてもいないのだ。

こういう人が乗る〈PORSCHEカイエン〉は、更に風格のある高級車に見えるのだった。
(離合:対向車同士が道でスレ違うこと)

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