No.305【言霊】

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テレビ画面にはナイター中継が映し出されている。

家内と息子は野球が大好きでいつも応援しているのだが、その夜は贔屓チームが敗けていた。

野球にはさほど関心がない僕はシラケた顔をして言った。

「ダメじゃないか、今日は敗けだ敗けだっ!」

すると熱烈なファンの息子が言う。

「いや、勝つ勝つ勝つっ❗️」

家内も加勢してきた。

「そうそう、勝つ勝つって言ってたら勝つよっ❗️言霊よっ❗️コ・ト・ダ・マッ❗️」

《コトダマッ❗️》

家内が粋なことを言った。

「〇子、言霊って言葉を知ってたんかぁ~」

「それくらい知ってるわよっ!失礼ねっ❗️」

家内の中にも日本精神が生きていた。うん!日本の女だ。

・・・・・・・

結果2人の〈言霊〉は天には届くことなくチームはボロ敗けした。

(言霊:言葉に宿る不思議な力)

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