ジーンズなどにワザと穴を開けたり、汚れを演出したり、はたまた使い古した感じを出したりするのが一時期流行ったことがあった。
〈ダメージファッション〉とか言うらしい。
その頃、高校生のウチの娘もご多分に漏れず、擦り切れて穴の開いたジーンズを穿いていた。
さて、その日は、実家からおじいちゃんとおばあちゃんが泊まりに来ていた。
おじいちゃん・おばあちゃんを交えた楽しい晩御飯も終り、お風呂にも入ったし、もう今日は寝ようかということになった。
ただ、おばあちゃんだけが少し遅くまで起きていて何かをしていたのだがじきに寝たようだ。
・・・・・・・
朝になって目覚めると、居間のほうがなにやら騒々しいではないか。耳をそばだてると、おばあちゃんが娘になにやら謝っているのだ。
「〇〇ちゃんゴメンね～」
すると娘が不服そうに言うのだった。
「もう～～っ！ おばあちゃんったら～っ❗️これねっ！破れてるのがカッコいいんだよ❗️」
どうやら、おばあちゃん、夜なべで〈ダメージジーンズ〉の「ほころび」全部を、御丁寧に繕ってしまったようなのだ。
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