No.402【うどん】

Uncategorized




新婚旅行は弟のクルマを借りてのアポなし貧乏ドライブの旅だった。

訳あって、手も握ったことがないうちに決まった見合結婚だったので、良く言えば新鮮なのだが、初日などは肩の凝るような雰囲気の旅行だった。

2日目の昼時に、国道沿いにある1軒の〈うどん屋〉に入った。

なんでも手打ちうどんの店で、有名なところらしかった。

「・・えぇ~と・・色々なうどんがあるねぇ・・じゃぁ僕は、店名の入ったこのうどんにしようかなぁ・・〇子さんはどれにしますか?」

「はい・・なんでもいいです・・」

「じやぁ、この〈ふるさとうどん〉はどうかなぁ」

「はい、それでいいです」

・・・・・・・

暫くして、注文した2つの〈うどん〉がテーブルに運ばれてきた。

僕のは、カマボコ、とろろ昆布、刻みネギが乗せられた普通の〈うどん〉で、彼女のは味噌仕立ての〈うどん〉だった。

有名店だけあって、出汁もいい、麺にも程々のコシがあって抜群に旨い〈うどん〉であった。家内も美味しそうに食べていた。

・・・・・・・

ところで後日分かったことなのだが、実は家内は、大の味噌嫌いだったのだ。

新婚生活に慣れてきた頃、家内がカミングアウトをした。

「あの時は恥ずかしいから吐きそうになるのを我慢して食べたんだからねっ❗️」

コメント

タイトルとURLをコピーしました