No.424【葬儀屋】

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兄が亡くなって丸3年が経った。〈多発性骨髄腫〉で入院していたのだが、病院でそのまま亡くなった。60歳半ばだった。

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義姉から兄が息を引き取ったという連絡が入ったのは夕方だった。すぐに病院に向かったのだが、僕の家から病院までは数十キロも離れていたので、我々夫婦が到着した時にはもう夜中になっていた。

義姉にお悔やみを言ったすぐ後に、当直医師による死亡確認があった。

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義姉が手配した〈葬儀屋〉が来るまで1時間は待っただろうか・・

搬出前の遺体処理が終ると、ストレッチャーに乗せられた兄と一緒に霊柩車が待機する1階の搬出口まで降りた。

病院のスタッフに見送られながら霊柩車は病院を後にした。義姉と家内を乗せた僕のクルマも後を追う。

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小1時間ほど走って〈葬儀場〉に到着した。

義姉は、小ぢんまりとした〈家族葬〉を望んでいたので、彼女が急遽予約したその〈葬儀屋〉は小さなものであった。

2階に案内された義姉と我々夫婦が担当者と打ち合わせをしていると、部屋に兄の〈遺体〉が運ばれてきた。

その様子を見て驚いた。

兄の〈遺体〉は深緑色の薄汚れたテント生地の布に入れられて、端と端を男性スタッフ2人が持ってハンモックのような感じで運ばれてきたのだ。

そして部屋の隅に物を扱うようにように無造作にドサッ❗️と置いた。

〈遺体〉の扱いというよりも、それは〈死体〉の扱いだった。

僕は心の中で叫んだ。

《おいっ❗️ コントじゃあるまいしっ! 遺体を物のように扱いやがってっ❗️ 物でももっと優しく扱うだろうがっ❗️》

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そして〈遺体〉はと言えば、打ち合わせが終っても、テント生地に包んだ状態で部屋の隅ッコに放ったらかしになったままだったので、堪らず一言文句を言ってやった。

「あのぉ~・・兄はいつまでこんな感じでいるんですかっ❗️」

すると担当者は悪びれた感じも無しにサラッと言ってのけるのだ。

「あっ!はい・・棺桶が到着しましたら棺桶の中に入れますから」

言葉遣いもなっていないし、第一こっちはそれまでの対処のことを言っているのだが埒が明かない。

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そんな〈葬儀屋〉ではあったが、ともあれ、〈通夜〉も、次の日の〈告別式〉も、なんとか無事に終った。

後日、義姉から聞いた話だが〈葬儀費用〉は本当に安かったらしい。

流石に〈死体〉を放り投げるだけのことはある。兄には申し訳ないが、安かろう悪かろうを決して裏切らないその〈葬儀屋〉の所業には大いに納得したのである・・・だから寧ろ賛辞を贈るべき・・・な訳があるかっ!この野郎~っ❗️

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