
クルマが帰って来た音がした。家内が、彼女の愛車〈スズキセルボ〉で帰って来たようだ。
玄関で靴を脱ぐ気配がする。
「・・・ただいま・・・」
居間の襖を開けてそう言ったままつっ立っている。なにやら元気が無い。何か言いたそうで言いかねている。僕はすぐに察しがついた。
「なんかあったんだろっ!・・・あっ❗️クルマぶつけたんじゃないだろうなっ❗️どうせキズでも付けてきたんだろっ❗️」
「・・・・・・左のバンパーがカパッ!と外れて・・」
図星なのである。長年夫婦をやっているとすぐに分かるのだ。
「わざとじゃないよっ❗️向こうが寄ってきたから・・」
家内はすぐに自己弁護の言い訳をする。
「なにやってんだよっ❗️いっつもキズ付けるよなぁ!」
そう言って僕はすぐにクルマを見に行った。
家内が言った通りに、左のバンパーのリップスポイラーが無惨にもカパッ!と剥がれているではないか!
「何回キズ付けりゃ気が済むんじゃ❗️」
ブツブツと僕の小言は暫く続く。
・・・・・・・
《まぁいいか・・・怪我もせずに元気で帰って来てくれたんだし、相手とぶつかった訳でもないしなぁ~》
そう思ったのは、翌日の朝だった。
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