No.611【鯰な娘】 Uncategorized X Facebook はてブ Pocket LINE コピー 2022.12.22 僕がホテルに勤務していた時である。スポットの女子大生で、〈ナマズ〉に似た顔をした女の子がいた。ホテルではアルバイトのことをスポットと呼んでいたのだ。彼女は仕事も出来て明るい性格なので、顔は〈ナマズ〉に似ていても、皆んなから愛されていた。そんな彼女に〈渾名〉が付いた。 〈 ナマ~ン 〉すると彼女が言った。「ナマ~ン 言うなぁ~」しかし抵抗も虚しく、結局は大学を卒業してホテルのバイトを辞めるその日まで、彼女は〈ナマ~ン〉と呼ばれ続けたのだった。最後のアルバイトの日、唇の左右にナマズの髭を描かれた〈ナマ~ン〉はリネンカートに乗せられて、ゴロゴロと宴会場内を練り歩いたのである。スポット達は口々に送別の言葉を贈った。「ナマ~ン❗️ありがとう❗️」「ナマ~ン❗️元気でなぁ❗️」「ナマ~ンがいなくなると寂しいわぁ❗️」皆んなから暖かい言葉を貰った彼女は言った。「ナマ~ン 言うなぁ~っ❗️」
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