No.615【渾名】

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僕が小学生の頃はまだまだおおらかな時代だった。

友達を呼ぶ時は殆んど〈渾名〉で呼んでいた。当時の〈渾名〉は大体がフザけたものばかりだ。それでも悪びれることなく、皆んな仲良く過ごしていたのだ。

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鶏肉を出荷している家の息子で、頭のテッペンがトンガって絶壁みたいだったから

〈鶏●しのゼツゴロウ〉

デカイ尻が突き出てる奴についた名前が〈ケツオ〉

存在感がイマイチでふにゃふにゃしたヤツには〈じゃれご〉という〈渾名〉がついた。

〈じゃれご〉とは、両親に生む予定がないのに夫婦でジャレていたら出来ちゃったという、想定外の余計な子、という意味なのだ。

小学生のクセにそんな大人の事情に詳しい糞ませたヤツもいたのだ。両親が寝ているところを目撃でもしたのだろうか・・

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それにしても、今だったらすぐに問題になるような、そんな〈渾名〉が平気で飛び交っていた心豊かな時代だったのである。第一、愛されていないヤツは〈渾名〉で呼んで貰えないのだ。

そして、相手を見て、そう呼んでもいいヤツにしか〈渾名〉で呼んだりはしない。
だから〈渾名〉は愛称なのだ。

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さて、現在はどうだろう・・明らかに言論の自由が偏りつつあるように思う。何でもかんでも禁止することによって、益々ギスギスした社会になっていくような気がするのは僕だけなのだろうか・・・

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