No.727【ホック付け】

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ジャケットのホックが取れそうになっている。メス側の方は確か半年前くらいに繕ったように思う。今度はオス側の方を縫い付けてある糸がほつれてホックがブラブラしているのだ。

〈いっちょ繕ろうか・・〉

還暦過ぎたジジイなのだが、是非はさておき、戦後の男女同権教育というのだろうか、小学校の家庭科で習った時から裁縫が好きになったのだ。

ところが如何せん老眼だ。近くがボケて見え難い。針に糸を通すのも一苦労なのだ。老眼鏡を掛けて挑戦していると、側で見ていた家内が言うのだ。

「なに?その針ぃ」

「ん~ん?針じゃないか」

「その針、糸の通し穴がデカ過ぎるよぉ・・畳針じゃあるまいしぃ」

「よぉ~し!通ったぁ❗️・・・玉結びOK❗️」

「アタシが縫おうかぁ?」

「いや僕がやる❗️」

生地を手に取ってホックの位置に針を刺した。

〈プスッ❗️〉

「痛ぁ~っ❗️」

針が布の向こう側で受けている親指に突き刺さったのだ。

するとこれ見よがしに家内が言った。

「ほらぁ、だからアタシがやるって言ったでしょ❗️」

それでも意地で縫い終ったジジイなのであった。

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