No.90【スープの具】

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ファミレスに入ってランチを注文した。ここのランチにはスープバーが付いている。
すぐにスープを取りに行くと先客のオジサンがスープを掬っていた。今日のスープは中華風タマゴスープだ。
ステンレスの寸胴にタップリと入ったスープの表面には溶きタマゴがたくさん浮いている。
オジサンはレードルでタマゴを掬おう掬おうとしているのだが、掬おうとすればするほど、レードルからタマゴが逃げていって下に落ちている。
やがてオジサンは諦めて、タマゴがチョッとしか入っていないカップを持って席に返って行った。
《・・掬おうとするから逃げるんだよ》
そう思いながら、僕はレードルを水平にしてスープの表面に沈めていく。すると、レードルの縁から溶きタマゴだけがドドドッと入ってくるのだ。
それを数回ほど繰り返して溶きタマゴの殆んどをカップに入れて僕は悠々と席に戻っていった。
《ガハハハハッ!》

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