
今日で最後にしようと言いながらもまた会ってしまうのだった。
彼女とは別れなければならないのに別れられないでいた。お互い本当に好き同士なのだが、双方の親が2人の仲に猛反対していたのでどうすることも出来なかった。
2人はロケットにお互いの写真を入れていつも身に着けていた。
彼女と離れている時でも、写真が入っているペンダント部分が胸に当たって冷やっとすると、いつでも彼女を感じた。
「最初、僕から声を掛けたんだから・・申し訳ない・・・せめてものお詫びに、僕の仕事を捨てるから・・別れて欲しい・・罪滅ぼしにもなんにもならないことくらいは分かっているけど・・・」
職場で顔を合わせることが多かったのだ。
「・・・このロケット・・持ってたら別れられないなぁ・・・2人で捨てよう・・」
そう言うと、彼女は俯いて黙っているばかりだった。
・・・・・・・・・
次の日、2人は河原に行った。ベンダントを川の中に投げ捨てようというのだが、彼女は泣いているばかりで、なかなか首からペンダントを外そうとはしない。
暫く経ってから、彼女はようやくペンダントを外して、僕の手の平に乗っている、もう1つのペンダントの上にそれを乗せてくれたのだった。
「いいかい?捨てるぞっ❗️」
そう言って、川の中目掛けて、僕は2つのペンダントを投げ捨てた。
〈バシャッ❗️・・・・・〉
2つのペンダントは川の流れの中に消えていった。
「・・・・・・・・」
それが彼女との最後になった。
・・・・・・・
彼女と別れてから数日後だった。家に帰ると母が1つの熨斗袋を僕に手渡してくれた。
「今日ね、彼女が来てね、これを渡してくれって・・よろしく伝えて下さいって・・言ってたよ」
受け取った熨斗袋には「餞別」と書かれてあった。あんなに2人の交際に反対していた僕の母親のところに餞別を持って来てくれたのだった。
それから間もなく、皆んなに引き留められるのを振り切って僕は職場を辞めた。彼女のいる街にいてはいけないと思った。そして街を出た。
・・・・・・・
あれから何年もの月日が経ったある日、別れてから初めてその街に帰って来た僕は、彼女との最後になったあの河原の方へと歩いていた。
〈確か、この辺だったなぁ・・まだ川の底にあるのかなぁ、あのペンダント・・もうあるわけないよなぁ・・・・・〉
《・・・私のことは心配しないで、早くいい人見つけて幸せになってね・・・》
川面を見つめる僕の心に、彼女の言葉が甦ってきた。
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