No.205【江戸の風呂】

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江戸時代の風俗・慣習には実に興味深いものがある。

江戸の銭湯は元々は混浴だったのだが、《寛政の改革》をやった、厳格な性格の松平定信が混浴を禁じてから、銭湯が男女別々に仕切られたらしい。

禁止令以降の〈湯屋〉と呼ばれた銭湯には〈毛切り石〉なるものが備え付けてあったそうだ。

〈毛切り石〉の使い方は、2つの石で陰毛を擦り切るというものらしい。なぜ擦り切りに拘ったのかといえば、切れた断面が柔らかくてパートナーに優しいからだという説を聞いたことがある。要するに、刃物で切ると断面が鋭くなってチクチクする、ということなのだろう。

そしてもう1つの理由がある。

当時の男の下着は〈褌〉のみであるが、その褌から陰毛がハミ出ることを嫌って、男達はせっせと手入れに勤しんだというのだ。

江戸の男も案外デリケートな生き物だったんだということなのだろうか。こんなことを言うと、「てやんでぇ!それが江戸っ子の《粋》ってぇもんだ!《野暮》なこと言ってんじゃねえやぃ!べらぼうめ!」なんて叱られそうだが・・・

そして、当然あってしかるべきだと思う女湯には〈毛切り石〉が備えてないところもあったらしくて、下の手入れは専ら男の嗜みだったようである。

なるほど、褌ではハミ出しても、腰巻きではハミ出しようがないのは事実だ。
女性で〈毛切り石〉を使ったのは遊女くらいだと、とある文献には書いてある。うん、これは理解出来る。

・・・・・・・

冗談で家内に言ってみた。

「お~い、江戸の文化を偲んで僕もやってみようかなぁ」

返事が返ってきた。

「なにひとりで江戸ってんの!どうでもいいけどそれどこでやんの?お風呂は止めてよ!トイレでやってよっ❗️」

余計なことを振ってしまった。

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