No.211【那覇のステーキハウス】

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沖縄ツアーの2日目の宿泊は那覇市内のホテルだった。首里城がそんなには遠くないというところに位置していた。

その日の夕食は、ホテルのレストランでのディナーが予定されていたのだが、那覇市内のステーキハウスでの食事、というオプションが付いていたので、家内と相談して、ひとりプラス¥1500―の追加料金を支払って、オプションのステーキハウスで食事をすることにした。

ステーキハウスまでの行きはバスで送ってもらって、帰りは自由解散だということだった。

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一旦、部屋に入ってシャワーを浴び、頃合いの時間にロビーに降りていくと、すでにかなりの数の参加者が集まっていて、玄関前にはバスが待機していた。

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バスに乗って十数分も走るとすぐにステーキハウスに到着した。

店に横付けされたバスを降りて店内に入ると、10台程の鉄板焼きのテーブルの周りに、それぞれ数人の客が座っている。

案内された席に腰掛けると、すぐに、コックコートを着たイケメンのお兄さんがやって来た。これは女性客に受けそうだ。

「いらっしゃいませ!今日はご来店ありがとうございます。今からお客様の目の前で、魚介類や野菜やステーキを焼いていきますので、どうぞごゆっくりとお食事をお楽しみ下さい」

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注文したオリオン生ビールで家内と乾杯していると、まずはスープボールに入ったコーンスープが配られてきた。ドロッ!とした感じのスープだ。

目の前では、イケメンお兄さんが海老を焼き始めたのだが、ヘラとミートフォークを、空中でジャグリングをしては、鉄板の上で海老を転がしている。

塩コショウもジャグリング、フランベに使うブランデーのボトルもジャグリングされて宙を舞う。

店内のアチコチでジャグリングが決まるたびに歓声が上がっている。

魚介類・野菜からメインの肉まで、総てがジャグラー焼きのテクニックを見せてくれたイケメンくんだった。

イケメンのパフォーマンスだけがこの店の売りだと思ったらそうでもなかった。

「お父さん!ここのお肉、赤身だけどコクがあって美味しいねぇ」

家内は、A5云々とかいう脂だらけの肉よりもこっちのほうがいいと言って喜んで食べている。

沖縄は米軍基地がある影響からか、食文化がアメリカナイズされていて、肉は赤身が主流なのかもしれない。アメリカは肉が主食なので、サッパリとした赤身を沢山食べるようである。

なにはともあれ、イケメンくんのパフォーマンスと鉄板焼きに堪能した我々は上機嫌で店を出て、それぞれに夜の那覇市内に散っていった。

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暗くなった通りには沖縄らしい風情の居酒屋が灯りを点して客を誘っている。

「おい、この居酒屋に入ってみるかぁ?」

「えぇ~わたし、もうお腹イッパイだわぁ」

家内がそう言うので2次会は諦めて、腹ごなしを兼ねて夜の那覇を散策することにした。宿泊ホテルまでの帰り道には、国際通りを通るのがいいルートだ。

国際通りでは土産物を買ったり、コンビニに入って〈さんぴん茶〉を買ったりして散歩を楽しんだのだが、ホテルへの帰り道がよく分からなくなってしまった。少し酔いも回ってきたことだし、仕方がないのでタクシーに乗ることにした。タクシーはイッパイ走っているのですぐに捕まった。

「すいません!すぐ近くだと思うんですが〇〇ホテルまで、いいですか?」

「はいっ!どうぞっ!」

運転手は快諾してくれた。実に感じが良い。

タクシーは、あっ!という間にホテルに到着してしまった。料金も殆んど初乗りに近い額面だった。¥1000―を差し出したのだが、申し訳ないのでお釣りは受け取らなかった。

「そうですか、明日は首里城観光ですか。楽しんで下さいね!」

タクシーを降りる時、運転手さんが優しい言葉を掛けてくれる。沖縄のタクシーは、観光客を実に大切にしてくれるもんだ。なんだか嬉しくなってきて、明日の首里城観光が余計に楽しみになってきたのだった。

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