No.212【ゴム跳び】

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少年時代の遊びには色々なものがあったが〈ビー玉〉もそのひとつだった。

まだ舗装もされていない道端の何箇所かに窪みを作って、ビー玉を順次入れていく遊びだ。誰よりも早く〈天の穴〉に辿り着くことを競うのだが、途中、他のヤツのビー玉を弾いては進行の妨害をするのだ。

男の子のビー玉遊びの横では女の子達が〈ゴム跳び〉をして遊んでいることが多かった。輪ゴムを繋いで作った長いゴムを、ひとりが端を持ち、もうひとりも端を持って、走り高跳びのポールのように横に張る。その高さを徐々に上げながら跳んでいくのだが、ゴムに触れても構わないというルールで、身体がゴムの向こう側にいっていればOKなのだった。

ところが、女の子達の殆んどがスカートを穿いていたので、そのまま跳ぶとパンツが丸見えになってしまう。

そこで女の子達は、パンツの裾のゴムで締まった部分にスカートの裾を器用に突っ込んで、即席の提灯ブルマを作るのだった。

ゴムの高さがドンドン上がっていくと、女の子は大きく足を上げて跳ぶのだが、その即席提灯ブルマのお陰でパンツはガッチリとガードされていて、殆んど見ることが出来ないのだった。見て見ぬふりをしながら残念がっていたのは、絶対に僕だけではなかったと確信する。

(〈ビー玉〉は、敵の玉をカ~ン!と弾いていたことから、当時、僕達は〈カン玉〉と呼んでいた)

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