2022-08

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N0.35【百円札】

僕が中学生の頃には、まだ板垣退助の百円札が流通していた。無論、現在の100円玉よりも風格も価値もあった。当時、子供が百円札を持っていると相当リッチな気分になったものである。「ジャ~ン!キレイじゃろ!」三時限目が終わった休憩時間に、ひとりの友...
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No.34【表現の自由】

脱水が終わってスイッチが切れたのに脱水ドラムがしばらく回るのを見て「洗濯機が暫時まわります」脱水が終わった洗濯物を物干し竿に干す時に竿に頭をコツンとぶつけて「高度の目測を誤りました」と言うおばちゃんがいた。普通に言いなされ!
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No.33【外車】

私は若いころ楽器店に勤めていた。その日は他の従業員は営業で外に出ていたので、社長と私と二人で店番をしていた。するとガラス越しに見える表通りに、彩やかな緑色の見慣れぬ形のクルマが店側に横付けして停車し、中から馴染み客の青年が降りてきた。この青...
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No.32【お宝】

部屋の整理をしていたら、古いソフトビニールの怪獣が出てきた。ひょっとすると、これは高値が付くかもしれない。過日、リサイクルショップをウロついていたら玩具コーナーに色んなソフビが並べられていた。《あっ!同んなじ怪獣がいる!》ウチにある怪獣と同...
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No.31【名案】

小学校の同じクラスに釣りが大好きな友達がいた。子供のくせに釣りに関する技量と経験はたいしたもので、よく大物を釣った自慢話をしていたものだ。ある日、近くの川でそれはデッカイ鯉が釣れたという噂が立ち、釣り人魂を刺激されたその友達は僕を誘ってきた...
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No.30【節約】

夫婦でスーパーに買い物に出た。主婦の買い物に付き合うと、案の定、旦那は待たされる。男にはどれでも同じに見えるのに、家内はなんども手にとっては商品を物色する。いよいよ決まったのかと思いきや買うのを止めてしまったりもする。「どれでも同んなじだろ...
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No.29【深夜の来訪者】

深夜、寝床に大きな蜘蛛が出た。私は恐怖のあまり呻き声を出すのだが身体が動かない。そいつはゴソゴソと布団の中に入ってきて、足元から背中に潜り込んでピタリと止まった。《ウ~ウ~ウ~・・ウ~ッ‼️》「お父さん‼️」家内が大きな声を出して、ちょうど...
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No.28【称号】

めっぽう酒に強い妻は、女友達の間では「ザル」どころか、網目もない「枠」と呼ばれている。
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No.27【予言者】

ちょっとボーイッシュな娘が生まれて間もない頃、妻は同じような小さな赤ちゃんを連れている主婦友達数人と一緒に、表で井戸端赤ちゃん会議を開いていた。そこへ自転車に乗った酔っ払いのおじさんが通り掛かって立ち止まり、数人いる赤ちゃんの中から妻がダッ...
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No.26【緊急車両】

その奥さんはクルマを運転していたのだが、急にお腹が痛くなって一刻を争うヤバイことになってしまった。「止まれ」の一旦停止も無視して先を急ごうとした時、後ろからヒュンヒュンとサイレンを鳴らしながらパトカーが追い掛けてきた。「前の軽自動車、止まっ...