2022-09

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No.147【ミヤマクワガタ】

少年達にとって〈カブトムシ〉や〈クワガタムシ〉は宝物だった。夏休みになると友達とよく獲りに行った。〈カブトムシ〉は、山ではなくて製材所に獲りに行く。製材所の隅の木屑の中にイッパイいるのだ。砂山のようになった木屑を手で掘っていくと、大きな幼虫...
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No.146【サスペンスドラマ】

サスペンスドラマを見ることにした。推理物は最初が肝腎だ。誰かが殺されてから物語が始まるのだから、それを見逃してしまうと、ストーリーが解り難くなる。始まって暫く経った時に家内がやって来た。「ねぇ、犯人はだれ?」「さっき始まったばかりだから分か...
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No.145【ネットの旅館】

パソコンのOSがまだWindowsMeの頃だった。家族5人で旅行に行くことになったのだが、宿がまだ決まっていなかったので、私は箱型モニターのデスクトップパソコンで、ホテルや旅館やらを検索していた。予算とニラメッコしながら探していると、小学生...
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No.144【更年期】

セキセイインコの〈ニコル君〉は、最近になってよく昼寝をするようになった。寝言も言い始めた。そう言えば、人間でいうともう初老に近い年齢なのだ。
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No.143【ソナタの調べ】

僕は〇〇ピアノの調律研修生を経て、同じ浜松にある大手ピアノメーカーの、調律師を養成する学校に移籍していた。そこは実に立派な施設で、ピアノが設置された防音の個室が、ズラーッと並んでいるというような所だった。・・・・・・・「君かぁ、〇〇ピアノか...
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No.142【入浴剤③】

入浴剤が2種類買ってある。紫色のラベンダーと黄色いレモンだ。毎日、交互に使って入浴を楽しんでいる。湯船に湯が溜まったので風呂に入ることにした。入浴剤を入れようと思って家内に訊いた。「お~い!昨日は紫だったかなぁ、ションベン色だったかなぁ?」...
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No.141【お色直し】

その日は披露宴が沢山入っていて、ホテルの宴会場は大変に忙しかった。さて、「絢爛の間」の披露宴が始まろうとしていたのだがアクシデントが起きてしまった。披露宴全体の進行をコントロールするセコンド担当者が倒れたのだ。セコンドとはディレクターのよう...
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No.140【1眼レフの威力】

昭和60年に「つくば万博」が開催された。・・・・・・・せっかく東京にいるんだからと、同じバイト先の女の子を誘って2人で行ってみることにした。・・・・・・・会場は凄い人出で大変に賑わっていた。僕は写真というよりもカメラが好きだったので、中古品...
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No.139【人形】

家内が断捨離を決意した。先日来より張り切って家の中を整理している。「ねぇお父さん、あれどうする?」家内が指差した先には、ケースに入れられた古びた日本人形があった。「そうだなぁ、焼いて捨てたらいいじゃないか」冗談まじりで答えると家内はすぐに反...
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No.138【健康優良児】

長男が産まれて6ヶ月が経った頃だ。母乳を飲みまくって見る見る大きくなり、体重が10.2㎏にもなった。普通の乳児の倍近くもある。色白のデブった赤ちゃんは、愛想のいいアルフレッド・ヒッチコックみたいになった。ある日、家内とヒッチコック君を連れて...