
CT検査が終わって内視鏡検査室の前で待機していると、係の女性看護師さんから案内があった。
「腸内がキレイになった方から順次内視鏡検査を受けて頂きますが、まだまだお通じが続きますのでシッカリとトイレには行っておいて下さいね。では〇〇さんと★★さん、検査着に着替えて頂きます。更衣室へ御案内致しますのでどうぞこちらへ」
看護師さんに案内されて僕は更衣室に入っていった。
続いて看護師さんの説明がある。
「はい、え~Tシャツは脱がなくても結構です。その上から検査着を着て下さい。それから、検査中、お通じで汚れることがありますから、靴下は脱いで下さい。パンツは脱いで頂いて、この穴の開いた検査パンツを穿いて頂くんですが、穴のほうを後ろにして下さいね。そこから内視鏡が入りますのでね。靴は脱いでこの棚に入れておいてい頂いて、こちらのスリッパを履いて下さい。終わりましたらスリッパはこのゴミ箱へ、検査着はこちらの籠に入れて下さい。ロッカーはこちらをお使い下さいね。では〇〇さんこちらへどうぞ」
看護師さんに促されて検査室の前まで行くと、入り口の向かいにある椅子に座って暫く待つようにと言われる。
直ぐに看護師さんがやって来て生年月日と氏名を確認したあと、皮膚消毒のアルコールアレルギーの無いことを確認して、腸の動きを弛める《筋肉注射〉を腕に打たれた。
・・・・・・・
「はいっ!では〇〇さん!検査室6にお入り下さい」
部屋に入るとすぐに横になるように説明を受ける。
「はい、では、こちらのベッドに、仰向けではなくて、モニター画面が見えるように、横向きに寝て頂けますか?」
「こうですか・・」
「はい、もう少し全体、上にあがりましょうか・・はいっ!いいですよ。そしたら膝を抱えるような形にしてぇ・・はいそれでいいですね・・では医師が参りますまでそのままの形でお待ち下さい」
・・・・・・・
先生は直ぐにやって来た。
「はいっ!医師の■■です。よろしくお願いします」
《えっ❗️女性の声ではないか!》
なんと先生が女性だったのだ。今まで数回の内視鏡検査を受けたのだが、女性の先生は初めてなのだ。それもかなり若くて美人ではないか!入院していた時も看護師さんは美人が多かったし、先生まで美人なのだ。美人なのは無論嬉しいに決まっているのだが、こと大腸の内視鏡検査になると恥ずかしいではないか。こんなオッサンだって〈肛門〉を見られることへの恥じらい心はまだあるんだぞ。
そんなオジサンの気持ちなんかどこ吹く風とばかりに先生は淡々と診察を進めていくのだった。
「はい、ではオシリに麻酔軟膏を塗りますよ」
そう言うやシリコン手袋をした指をグニュッと、容赦なく〈肛門〉に突っ込んでくる。麻酔軟膏が行き渡るまで滑らなくてチョッと痛い。無論、興奮はしない。絶対に興奮なんかしてないもんね~だっ!。
「はいっ!じゃぁ始めますよ。力を抜いて下さいね」
するとカメラの先が〈肛門〉をグリグリし始める。〈肛門〉も入ってくるのを拒否しようと意地になっている。けれどもとうとう突破されてしまった。
「はい、ではここからは仰向けになって下さい・・」
「こんなもんでいいでしょうか?」
「はい結構です・・それでぇ、右足を左足に掛けて・・はいクロスさせて・・そうですそうです。これでやり易くなりますから」
そうしてカメラが奥に進み易い態勢になった。
さて、入り口を越えると痛みは無くなるのだが、ここから大腸の一番奥まで内視鏡カメラが入り込んでいくのだ。
モニターは僕にも丸見えで、オレンジ色の腸内が鮮やかに映し出されている。
ところがまた厄介なことが始まるのだ。腸内をよく見えるようにする為なのだろう。カメラの先から水の様なものと一緒にシューシューとガスが出てきて大腸を膨らませるのだ。これがなかなかキツイ。腹がパンパンに張ってきてチョッと痛い。
助手の看護師さんが言う。
「ガスが出そうになったら出して下さいね~」
いとも簡単に言ってくれるもんであるが、女性の前でプープーブーブー〈屁〉をコケる訳がないではないか。必死に我慢をするしかないのだ。
そうして大腸の一番奥まで辿り着いたら、今度はシッカリと観察をしながら下がっていくのだ。帰り道は青い薬を噴射して写真を撮ったりもしている。水みたいなものとガスの噴射は依然続いているので腸のパンパン感は増してくるばかりだ。
20分も続いただろうか、カメラはやっと出口まで帰ってきた。
「はいっ!終わりますよ~」
先生がそう言うとカメラは完全に体内から出ていった。
こうして〈内視鏡検査〉が終わった。
・・・・・・・
検査のあと、外来診察に移動して、担当の男性医師から説明を受けた。
「前回と同じく、大腸に変化も無くて、転移も一切認められません。良かったですね」
という診断だった。ホッとした瞬間である。
・・・・・・・
家に帰って、検査の先生が若い女性だったので恥ずかしかったことを家内に話したら家内がこう言った。
「お父さん、いいオジサンがなに言ってんのよ。それに、仕事なんだら先生だってな~んとも思ってないわよ」
「ほぅ~、それなら大好きなイケメンタレント・・・たとえば〇〇〇〇が先生だったら、〇子、内視鏡検査されてもなんともないのか?」
「あぁ~~それダメ~」
「ほらみろっ!」
どうやら状況を理解したようである。(終)
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