No.270【馬乗り】

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中学時代、休憩時間になるとよく〈馬乗り〉をして遊んだ。

〈馬乗り〉というのは複数人数でやる遊びで、10人くらいの人員が必要だった。仮に10人だとすると5人と5人の2つのグループに別れる。

攻める側と受ける側をジャン拳で決めて、受ける側のひとりが、まず、少し脚を拡げて壁に背中が付くようにして立つ。次のひとりが壁に立っているヤツの股間の下に90度前屈みになって頭を突っ込み、両手は立っているヤツの太股を、左右それぞれ抱え込む。

次のヤツは前屈みになっているヤツのお尻の下の股間に頭を突っ込んで、やはり太股を両手でシッカリと掴む。同じく残りのヤツ等もレゴブロックを組むように次々に頭を突っ込んでいくのだ。股間と後頭部が密着するのを嫌がっているようでは〈馬乗り〉は出来ないのだ。

こうして、5人の股間と頭で繋がった〈馬〉が出来上がる。これが〈受け側〉の態勢になる。

〈馬〉が完成したら、攻撃側はひとりづつが後ろから思いっきり助走をつけて〈馬〉に飛び乗っていくのだ。

5人が順々に飛び乗っていって、〈馬〉が崩れたら攻撃側の1ポイント。5人のうちのひとりでも〈馬〉から落ちたら受け側の1ポイントということになる。

だから攻撃側は容赦なくドカンドカンと潰しに掛かる。片や受け側は立っているヤツが出す指示の声を聞きながら、尻や背中を左右に振って飛んでくる敵を〈馬〉から落とそうと画策する。乗られてしがみつかれても尻をブルンブルン動かしては振り落とそうとするのだ。

攻撃側もよく考えて飛ばないといけない。フェイントを掛けられて〈馬〉がいないところに突っ込んでしまいかねないのだ。さしずめ、野球のバッテリーと打者の騙し合いみたいなものだ。

敵側に柔道部の巨漢がいる場合には相当に覚悟をして掛からないと〈馬〉がすぐに潰された。じゃぁ小さいヤツが飛んでくる場合はダメージが少ないのかと思いきや、軽い分だけしがみついてなかなか落ちないという強みを持っていた。フェイントを喰らって落ちそうになっても両手両足を絡み付けて、〈馬〉の腹側にぶら下がった状態になっても落ちないのだから非常に手を焼いたものである。

勝ち敗けというよりも、やること自体が楽しくて仕方がなかった〈馬乗り〉なのだ。そして、寒い時期の〈馬乗り〉と〈押しくらまんじゅう〉は、暖まる系の2大ゲームであった。

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