No.280【珈琲】

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〈珈琲〉をこよなく愛する人には誠に申し訳がないことを言うようだが、僕は〈珈琲〉がそんなに好きではない。

〈珈琲〉がなければ1日が始まらないというような人もいるようだが、僕は無くても一生困るようなことはない。

但し、絶対に飲まないという訳でもなくて、周囲に合わせてけっこう飲んではいるのだが、美味しいと思うことがあまりないのだ。本物の旨い〈珈琲〉を知らない馬鹿なヤツなんだと言われればそうかもしれない。

特にブラックなんかは、ただの苦い汁くらいにしか感じないので、僕は本当は飲まないほうがいいのだ。付き合いで飲んでも〈珈琲〉は喜ばないだろう。

有名な〈珈琲豆〉の特徴を言えと言われれば、〈モカ〉には少しの酸味がある、くらいしか知らない。極端な話、豆から挽いた珈琲とインスタント珈琲との区別もろくに出来ないのだ。だから誉れ高き〈ブルーマウンテン〉なんかを僕に与えても豚に真珠である。

という訳で、僕は〈珈琲〉はあまり好きではないのだが、〈珈琲の薫り〉となると話が違ってくる。

〈珈琲〉の薫りは実に素晴らしいのだ❗️

例えば街中を歩いていて珈琲専門店の前を通った時だ。なんとも言えぬ珈琲豆の薫りが漂ってくるではないか!あれは凄い❗️

カレー屋の換気扇から流れ出てくるカレースパイスの、あのソソられる匂いといい勝負をするのが、喫茶店の側を通った時の〈珈琲豆〉の薫りなのだ。

〈珈琲好き〉の人から見れば、僕なんか、人生における大きなひとつの楽しみを知らない哀れな人間に見えるのかもしれない。

・・・・・・・

「お父さん!コーヒー飲む~?」

ドリップした珈琲を一緒に飲もうと、今朝も家内が誘ってくるのだが、僕の返事は大概決まっているのだ。

「いや、いらな~い」

「もう~~、お父さんはほんとコーヒー飲まないんだから」

家内はそう言いながら、いつもひとり淋しく〈珈琲〉を飲んでいるのである。

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