No.288【手紙】

Uncategorized




「お父さん、婚約時代に東京から手紙くれたことがあっでしょ?」

「あぁ~そんなことがあったかなぁ」

どういう訳か、家内が昔の手紙の話をし始めた。

「手作りの封筒に入っててね・・凄く嬉しかったよ~・・〈今からオニオンスライスを作ります〉なんて書いてあったわ・・それでね、難しくて読めない漢字があったんで辞書で調べたりしたのよ・・」

「わざと難しい漢字を使ってカッコつけてたんだよ。若気の至りだな」

「こりゃ返事出すのに下手な文章は書けないなって思ってね。返事は一生懸命に書いたんだからね・・」

「あぁそれでかぁ、暫く経ってから返事が来たんだよ。その間一生懸命書いてたんだ~」

「そう、何回も書き直したんだからね。父さん、アタシの手紙なんかもう持ってないでしょ?持ってたら捨ててよ、恥ずかしいから・・父さんの手紙は大事にとってあるんだっ!アタシの宝物だからっ!」

「えぇっ!人には捨てろと言っといて、自分はまだ持ってたんかい!そんなこっ恥ずかしいもんなんかそっちこそ早く捨てろよっ❗️」

「嫌よっ❗️棺桶に入れて貰うんだからねっ❗️」

「はぁ?棺桶~?」

「そ、棺桶」

「・・あ~そ~・・まぁしゃあない、好きにすりゃいいけど・・そりゃそうと、今は〈手紙〉なんか書かなくなったよなぁ」

「そうよねぇ・・スマホとパソコンとかの、SNSとメールばかりよね」

「あぁ、なんか味気ないったら味気ないよな・・そいで、なんでも〈バーチャル〉の時代だしな。CGなんかも凄いしな」

「そうそう!本物みたいだよ」

「今に何でもかんでも〈バーチャル〉になるんじゃないか?恋愛なんかも〈バーチャルデート〉」

「じゃ〈バーチャル結婚〉?」

「そうそう・・んで〈バーチャルセッ〇ス〉なんてなっ❗️こりゃ手間が省けていいかも~」

「それダメ~ッ!アナログじゃなきゃやだ~~っ❗️」

コメント

タイトルとURLをコピーしました