
台湾観光は2日目に入っていた。
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〈中正紀念堂〉で、有名な衛兵の交代シーンを見学したあと、僕は友人と一緒に紀念堂の界隈を散策した。
友人が言う。
「おい、トイレに行きたくないかぁ?」
「あぁ、そう言われたら僕も行きたくなってきなぁ。トイレトイレっと・・・おっ!あそこにあるぞっ!行こう行こう」
トイレはバスに返る途中の公園の隅にあった。
トイレの前まで来ていざ入ろうとしたのだが、入り口前には小さなテーブルがあって、パイプ椅子にはお婆さんが座っている。そこは〈有料トイレ〉なのだった。
「おい、有料みたいだぞっ!どうする?」
友人が訊く。
「どうするもこうするも行かなきゃしょうがないだろ」
「金払うの、なんか勿体ないな」
日本には有料トイレなんて一切ないのだから、たかだかトイレくらいにお金を払う気がしないのだった。
躊躇していると、トイレ番のお婆さんが席を立ってどこかに行ってしまったのだった。
友人が耳元で囁いた。
「おいっ!チャンスだっ入ろうぜっ!」
「いいのかよぉ」
「大丈夫だいじょうぶっ!」
2人は黙ってトイレに入っていった。
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トイレから出てきても、まだお婆さんは戻ってきてはいなかった。
「わぁ良かった!只でトイレ行けて」
友人は喜んでそう言うのだが、僕は少々の罪悪感を感じていたので早くその場から立ち去りたかったのだ。
「おい、早くバスに返ろうぜ」
小さなテーブルの上には、10元と書いた料金を示す札が立ててあった。日本円にして30円少々のもんなのだが、僕はなんだか罪悪感を感じてしまうのだった。
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台湾のトイレは、日本のように只が当たり前ではなかったのだった。
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