No.300【百日紅の木】

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庭のサルスベリが花を咲かせ始めた。サルスベリがいつごろ花を咲かせるのか、花音痴の僕には分からないが、今咲いているのだからサルスベリの花は夏に咲くのだろう。

それにしても〈百日紅〉と書いてサルスベリとは、知っていなければ絶対に読めないだろう。

サルスベリは結構大きな木になるらしいが、ウチのヤツはまだ1mくらいの背丈である。

その木から、幾つもの枝が分かれていて、枝からさらに伸びた、茎のような枝にピンク色の花が咲くのである。

ところがこの枝がことのほか長くて、塀を乗り越えて隣の庭の上まで伸びて〈領空侵犯〉をしている。僕はこれが気になって仕方がないのだ。

僕は元々が花音痴なので、植木とかプランターの花なんかどうでもいいクチで、サルスベリの木なんか鬱陶しくてバッサリと斬り倒してやりたいのが本音だ。

しかし、実はこのサルスベリ、亡くなった父がお隣の御主人に頂いて家に植えたものなのだ。

従って〈領空侵犯〉したからといってハミ出した枝を無碍に切ることなんか出来やしない。

お隣の御主人は今も御健在で、自分の所のサルスベリとウチのサルスベリの花を嬉しそうに愛でておられる。

だから絶対に切る訳にはいかないのだ。

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そう言えば子供の頃、公園にヤケにツルツルした1本の木があったので、近くにいたオジサンに名前を訊いたら〈サルスベリの木〉だという。

しかし〈サルスベリ〉なんて実にフザケタ名前ではないか。

でも実際にその木に登って遊んでみると、ツルツルして手が滑り、何度も落ちそうになったのだ。

〈これじゃぁ猿でも滑るわっ!〉

と、その名前には大いに納得したのであった。

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