No.303【視線の先】

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従妹の娘は幼少のころから〈霊感〉が強かった。

家の中でも学校でも、結構〈見える〉んだと言っていた。

そんな彼女も成人して〈保育士〉になり、ある保育所で先生として働くことになった。

・・・・・・・

ある日の〈お遊戯〉の時間だった。お遊戯室に園児を集めて指導をしていた時である。1人の男子園児が、皆んなとは違う方向の壁に向かって、少し上向き加減で誰かと話をしているのに気が付いたのだ。

・・・・・・・

〈お遊戯〉の時間が終わって教室に帰ろうとしていた彼女のところに、一緒にお遊戯の指導をしていた先輩保育士と同僚保育士の2人がやってきた。

先輩が言う。

「ねぇねぇ、さっきの〇〇くん見たぁ?」

同僚も言う。

「壁に向かって誰かと話してたでしょ?そう見えたんだけど気のせいかなぁ?」

「そうそう、話してたよね・・」

霊感が強い彼女も同意したのだが、男の子の前に立っていた〈黒い影〉の存在について話すことはなかった。

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