No.315【妻のサービス】

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家内が帰って来た。

「ただいま~・・・」

普段と違ってなんだかしおらしい。

《絶対なんかあるなっ!》

「お帰り~・・・なんかやったんだろっ?・・クルマにキズでも付けたんじゃないだろうな?」

「ごめんなさい・・・でもアタシじゃないよっ❗️買い物が終わってクルマに返ってきたらキズが付いてたのよ、ホントよっ❗️」

「だからいつも言ってるだろっ!スーパーの駐車場は注意して止めろって」

「・・・・・」

「面倒でも、左右が空いたところを探して止めないとよくやられるんだよ」

外に出てキズを確認する。

擦りキズが3ヶ所、1ヶ所だけ少しの凹みがあるが、全体的には浅いキズだ。

「これならまぁ気にならんくらいには直るだろう・・今から直すわ」

「えぇ~これがぁ?」

家内は半信半疑の様子だが、僕は若い頃、楽器店に勤めていて、ピアノのキズの修理もやっていたので、クルマのキズを誤魔化すことも結構上手いのだ。

そのクルマ用のタッチペンは持っていたので、タッチペンとカーワックスを駆使して、早速、修理に取り掛かった。

30分程で修理が終わった。かなかないい出来映えである。チョッと見には分からないくらいになった。

家内は喜んだ

「わぁ~~っ❗️お父さん凄いねっ❗️」

・・・・・・・

その夜の家内のサービスといったらもの凄かった。

あっ!アレのことではない。晩御飯のことである。

缶ビールは2本も出てくるし、普段は家内が作ってくれたりはしない焼酎の水割りまでもが、黙っていてもバンバン出てきた。

なんだ、やれば出来るじゃないか。
(タッチペン:それぞれのクルマの塗料と同じ塗料を、ペンタッチで車体に塗ることが出来るクルマの補修剤)

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