No.326【試着】

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「父さんもタマには着るもの買えばぁ?」

家内がそう言うので買い物に出掛けた。

2人が行った所は、品質と安さで人気のある大手アパレルショップだった。

その日は僕の物を買いに来たのに、店に入るや家内は女物のコーナーの方へスッ飛んで行く。

《なんだよぉ・・今日は僕のを買いに来たんだろ?》

ダラダラと買い物をするのが好きではない僕は、家内を探し出して男性コーナーに連れて来て一緒にデニムスラックスを物色してもらった。

「お父さん!これなんかど~ぉ?」

「ダメダメそんな股上の深いのは・・」

「あらっ!なんでもいいって言う割には拘るじゃん!」

「いや、そりゃセンスなさ過ぎだろっ!」

なんだかんだと言いながら3本をピックアップして試着室に入った。

・・・・・・・

外から家内が訊ねる。

「お父さん、ど~ぉ?」

「おっ、これなかなかいいんじゃないか?ウエストも丁度いいし」

そう言いながら試着したものを脱いでいるとシャーッ❗️っとカーテンが開く。

「どれどれっ?見せて~っ❗️」

僕はパンツ丸見え状態だ。

「わっ❗️急に開けるなよっ❗️」

「げっ!ゴメンなさい!まだ試着のを穿いてるのかと思ったじゃないのぉ~アタシにも見せてよ」

続いて2本目を穿いてみた。それはウエストがチョッとキツかったのですぐに〈没〉判定をして脱いだ。

外の家内に伝える。

「おい、こりゃ腹がキツイわ」

「どれどれっ!」

シャッ!っとカーテンが開く。またパンツが丸見えだ。

「わっ!ゴメンなさい!」

「も~ぉ開ける時は言えよぉ、キツ目だからすぐに脱いだわ」

コントのような家内の天然は続いた。

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