No.332【赤ちゃんの返品】

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赤ちゃんの時の長男は物凄く可愛いかった。また馬鹿親が親バカ言ってやがるとお思いだろうが、事実なのだからしょうがない。

もしも本当に不細工な赤ちゃんだったら、神に誓って不細工だと言い切るので許して欲しい。

そんな可愛い長男にも欠点があった・・・それはデブだということだ。デブでも可愛いことには変わりがないと確信しているので、ここは親バカと言われても致し方ないのかもしれない。

初めての子供なので可愛いのだ。

あれは暑い夏の夕方だった。まだ1歳にもならない長男を抱っこして外に夕涼みに出た。

家の近くの国道沿いにある小さなイタリアンレストランの近くで流れるクルマを見ながら涼んでいた。

すると店からマスターが出てきてこう言った。

「あの~・・可愛い赤ちゃんですねぇ」

「はぁ、ありがとうございます」

「あの~~・・ウチのお客さんがですね・・ほら、窓の近くにいる女子高生3人」

「・・・はい」

「その子たちがね、さっきからお宅の赤ちゃんが可愛い可愛いって言ってね・・」

「はぁ」

「マスターあの赤ちゃん抱っこしたいって言うんですよ」

「あぁ~そうなんですか・・ありがとうございます」

「で、赤ちゃん借りて来てって言うんですよぉ・・あのぉ~赤ちゃん、お借り出来ませんか?」

マスターが、そう言うので貸すことにした。

「そうですかぁ・・じゃぁどうぞ」

そう言って長男を預けたのだが、その瞬間から大声で泣き始めた。

「ウア~~~~~~ン❗️」

それでもマスターは長男を抱えて店に入っていく・・・

窓の向こうでマスターと女子高生たちが長男をあやしているのが見えるのだが泣き止まないようだ。

そして、ものの1分も経たないうちに長男を抱えたマスターが出てきた。手に負えなかったようだ。

「ごめんなさい❗️赤ちゃん、泣いちゃって泣いちゃって・・」

そう言いながら長男を返してくれたのだった。

せっかく女子高生に抱っこしてもらえるところだったのに可愛いげのない赤ちゃんである。

そうか~・・欠点は〈デブ〉だけじゃなかったのか❗️

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