No.13【傷めた腰】

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後頭部がストンと真っ直ぐだったため、彼は小学校の時から「絶壁頭のゼツゴロウ」と呼ばれていたが、当時はさらに酷い渾名であっても許される空気があって、みんな好き勝手な渾名を付け合っていたものである。ゼツゴロウもニコニコとその渾名を受け入れていた。
やがて中学生になった彼は憧れの野球部に入り、なんとかセンターのポジションを手に入れたのだった。
「パキーン‼️」
打たれた白球は外野に向けてグングンと伸びていった。
「お~い❗️伸びるぞ~っ❗️センターバ~ックバ~ック❗️下がれ下がれ~っ‼️」キャプテンが大声で指示を出す。
打球はグングン伸びている。ゼツゴロウは打球を睨みながら後ろ走りをする。ところが彼の後ろにはバスケットゴールの鉄柱が段々と近づいてきていた。
「お~い!危ないぞ~っ!止まれ止まれ~っ‼️」
キャッチャーが叫んだがゼツゴロウの耳には届かなかった。
「ゴワ~~~ン‼️」
頭からバスケットゴールの鉄柱に激突してしまった。それは物凄い当たりかただったので、みんなが駆け寄ってきた時もゴールネットがまだ揺れているほどだった。バスケット部の連中も集まってきた。顧問の先生もきた。
「頭は大丈夫か~っ‼️」
顧問の先生が叫ぶとゼツゴロウは言った。
「腰が痛いよ~っ‼️」
恐るべき絶壁アタマだった。以後ゼツゴロウの渾名に箔が付いた。

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