No.387【山手線】

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若かりし頃、友達数人とで〈山手線一周〉を歩いたことがある。

晴天に恵まれたことが何よりであった。

〈巣鴨駅〉をスタートして、時計回りに次の〈駒込駅〉を目指した。

皆んな快調に歩いている。

〈田端〉〈西日暮里〉〈日暮里〉、ちょっと猥雑な雰囲気の〈鶯谷〉と、順調に駅を通過していく。

道路事情によっては、線路脇から少し離れた道を歩かなければならないところがあって、余分な距離が加わったりした。

〈上野〉を過ぎると、次は知っていなければ正しく読めない〈御徒町〉を過ぎ、電気街で有名な〈秋葉原〉・・〈神田〉〈東京〉〈有楽町〉〈新橋〉・・モノレールの〈浜松町〉から〈田町〉を過ぎて〈品川〉に到着した。

品川には知り合いの家があったので、そこで30分の食事休憩を取らせて貰ってすぐに再出発した。

休むとなんだか疲れが出てきて、皆んなのペースが少し落ちてしまったのだが、止まることなく意地で歩き続けた。

〈大崎〉〈五反田〉〈目黒〉〈恵比寿〉〈渋谷〉〈原宿〉〈代々木〉と続けて歩いたら、もう足が棒のようになるとはこのことかと思うほどに疲れが溜まってきた。

メンバーの中に、一際華奢なヤツがいた。

《あ~アイツが真っ先にヘタるな》

そう思っていたヤツが一番元気だったので、人は見掛けでは判断出来ないもんだなぁということを痛感したものである。

もう根性で歩くという感じがピッタリになってきた。

〈新宿〉〈新大久保〉〈高田馬場〉〈目白〉を過ぎて、なんとか〈池袋〉のパルコ前までやって来た。

後は〈大塚〉を過ぎればゴールの〈巣鴨〉だ。

・・・・・・・

足を引きずるように〈巣鴨駅前〉に辿り着いた時には、もう日が傾き掛けていた。
朝の8時に出て夕方の6時にゴールインしたのだから、10時間の強行軍なのだった。

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