No.393【繕い亭主】

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穴の空いた靴下を見ると、僕はヤケに繕いたくなるのだ。

靴下の穴は、大体が親指の先の位置に空いていることが多い。

靴下を左手に持ったら、空いている右手を、足の入り口から突っ込んで奥のほうを摘まんだら一気に引っ張って裏返す。

裁縫箱から靴下の色に合った糸と、針穴が大き目の縫い針を取り出す。

針穴の大きな針を選ぶのは、針に糸を通す時に、老眼で近くが見え難いからである。

座椅子のカバーの綻びや、Tシャツの縫い目のチョッとしたホツレなども繕うのだ。

ところが、節約家の家内が褒めてくれると思いきや・・

「父さん・・そんな穴の空いた靴下なんかもういい加減に捨てたらぁ~」

などと、丸で予想外のことを言うのであるから、女房心はミステリーなのだった。

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