No.482【便器の性能】

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この家に帰って来てから7年が経った。

母が亡くなってから暫くは親父ひとりで住んでいたのだが、持病が悪化してきたので我々夫婦が面倒を見る為に帰ってきたのが7年前だった。

帰って来てから3年後に親父が亡くなったのだが、そのままこの古い家に住んでいる。

この家は、僕が高校生の時に親父が建てた家だ。当時は時代の最先端をいくモダンな建物だったのだが、今ではもうそんな面影などは全く感じさせない只の古い家になってしまった。

40数年も前の建築なので、トイレは和式の水洗便器だ。

洋式の洗浄便座式トイレが普及してきた頃に、和式便器を洋式洗浄便座に改良してある。

和式便器に、それ用の洋式便器をガバッと被せて洋式にし、さらに洗浄便座を取り付けてある。パッと見は今現在の洋式洗浄便座となんら変わりがない立派なものだ。
ところが見た目は立派ななのだが、1つだけ欠点があるのだ。

〈小〉の時にはいいのだが、問題は〈大〉の時なのである。

洋式便器の場合は〈ウ〇コ〉が水の中に落ちるのだが、ウチの便器は基本が和式なので〈ウ〇コ〉が一旦便器の上にコンモリと盛り付けられる。

用を足し終るとそれを一気に水で流すわけだ。

しかしこの和式便器には癖があって、水の中央だけが勢いよく流れて左右を流れる水圧が弱いのだ。

塊ごと一挙に流れてくれる時はいいのだが、〈ウ〇コ〉が割れてしまって片割れが本流を外れて残ることがあるのだ。こうなるともう流れはしない。

タンクに水が溜まるのを待ってもう1回挑戦する。

ドバッと勢いよく水が出るのだが、しかしやはり中央を流れるだけで横に弾かれた〈ウ〇コ〉は流れないのだ。

しょうがないから備え付けの棒ずりでツツいて本流に合流させてやる。

ところで、大腸癌手術をした僕の〈ウ〇コ〉の品質には波があるのだが、腸が健康な家内は立派なのを出すから、彼女のが引っ掛かることが多いのである。

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