No.490【友達の趣味】

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中学の同じクラスに、呉服屋の息子で■■君という友達がいた。

当時、僕は丸坊主頭をしていたので、皆んなから珍しがられていた。

タワシのような坊主頭を撫でる感触が気持ちいいんだと言って、よく皆んなに頭を撫でられたりしていたが、■■君も僕の頭を撫でるのが大好きで、その日もニコニコしながら側にやってきた。

撫でることも好きなのだが、彼にはもう1つの目的があった。

彼はひとしきり頭を撫でたあと、指で短い髪の毛を掻き分け始める。

「ん~~あったあった❗️抜くでぇ~」

そう言うや否やピッ!と1本の髪を抜くのだ。

「痛っ❗️」

「おい、ジッとしとけよ!まだ白髪があるぞぉ」

中学に入った頃から、僕の頭には〈若白髪〉が混じり始めていた。

彼は、ニホン猿の蚤取りかシラミ取りか知らないが、そんな感じで白髪を抜くのが趣味だったのだ。

ひょっとしたら、■■君は猿の生まれ変わりなのかもしれない。

〈若白髪〉を抜くと、反って白髪が増えると聞いたことがある。それが本当かどうかは知らないが、僕の白髪が徐々に増えていったのは事実である。

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