No.549【・・・ぶり】

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北海道で、山菜採りに来ていた夫婦がヒグマ(羆)に遭遇し、60代の夫が襲われて死亡するという、実に痛ましい事件があった。

それは、こんなニュースだった。

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〈 ヒグマの影を見た奥さんがその場を離れようとした時、夫の悲鳴が耳に入った。振り返ると夫がヒグマに襲われている。奥さんは車に戻って110番通報をした。
2時間40分後、頭から血を流して倒れている男性を警察署員や消防署員らが見つけ、死亡が確認された。ヒグマは見つかっていない 〉

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なんとも言えない悲惨な出来事である。亡くなった男性のご冥福を祈ると共に、奥様には心よりのお見舞いを申し上げたい。

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ところで、僕はこの事件をテレビのニュースで知った訳なのだが、当初の報道での表現にある違和感を感じたのである。

ニュースの内容は、ザッといま記したようなものなのだが、問題なのは最後に付け加えられた一言だ。

それはこういうものであった。

〈北海道でヒグマに襲われて死亡者が出たのは3年半ぶりです〉

そう・・(ぶり)という言葉を使っているのである。

(ぶり)という言葉は、何か心楽しい事やいい事が訪れた時に使う言葉ではなかろうか・・・

こういう事件に限らず、例えば大きな地震が起こった時や、今では、コロナ感染者数が再び何百人を越えた時などでも、昨今のメディアは(〇〇年ぶり)とか(〇ヶ月ぶり)という言い方をするのだ。

彼等は言葉遣いのプロフェッショナルではないのか?
まるで、待ち望んだ地震が来たとでも言っているように聞こえるのは僕だけなのだろうか・・・

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例えば地震の報道である。

「この地方に震度6以上の地震が起きたのは、3年前の★★地震以来のことです」

せめてこれくらいの表現をして貰いたいものである。モラルにしても言葉遣いにしても、テレビの劣化が止まらない。

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