No.605【里のホタル】 Uncategorized X Facebook はてブ Pocket LINE コピー 2022.12.19 少年時代、僕の故郷には〈蛍〉が沢山いた。シーズンになると家族皆んなで見に行ったものだが、そう言えば、それ以来もう何十年も〈蛍〉を見ていなかった。・・・・・・・ところが、急に〈蛍〉に巡り逢えるチャンスがやってきたのだ。なんでも、出張中の宿舎の近くに〈蛍〉が棲息している場所があるというのだ。早速、見に行くことにした。ここ1週間くらいが見頃だという。・・・・・・・現場に到着した時はまだ薄明るさが残っていて、〈蛍〉の姿はまだ見られなかったのだが、暗くなるに連れて「ポッ!ポッ!」っと光り始めたのである。やがてその数はどんどんと増えていって、斑鳩の里の清流は、蛍の明かりでいっぱいになった。同行した、金沢から来たという2人の女の子は、まるで子供のようにはしゃいでいる。「わぁ~凄いよぉ~・・ホラ❗️光ってる光ってる~」「あっ!飛んだよ~」「アタシ、〈蛍〉見るの生まれて 初めて~」「今日はホントに嬉しいなぁ」「スマホのカメラじゃ写すの難しいなぁ・・勝手にライト点いちゃうし~」・・・・・・・足元で光っていた1匹の〈蛍〉をソッと手の平に乗せてみた。小さな〈蛍〉だった。「これ、小さいから平家ボタルだと思うよ」すると2人の女の子が側にやって来て手の平の上の〈蛍〉をスマホで撮影し始めるのだ。「キャ~かわいい~」「これ、平家ホタルなんですかぁ?」「そうだと思うよ~源氏ボタルはもっとデカイはずだから・・おっ!今度はあっちのほうで沢山光ってるぞぉ~」僕はそっちのほうへ行ってみる。すると女の子も付いてきて僕の横にしゃがみ込んでは動画を撮り始める。無論、女の子達は無意識に動いているだけなのだが、若い女の子に側に寄ってこられると、実は人知れず緊張して恥ずかしがっている、還暦を過ぎたジジイなのである。(蛍3種:ゲンジボタル・ヘイケボタル・ヒメホタルなど・・)
コメント