No.613【最初の晩餐】 Uncategorized X Facebook はてブ Pocket LINE コピー 2022.12.23 以前のnoteにも書いたのだが、僕たち夫婦は電撃的見合い結婚をした。会ったその日に、僕は想定外のプロポーズをしてしまい、3ヶ月後には結婚式を挙げた訳である。家内が山口県、僕が東京に住んでいたので、結婚式までに3度ほど顔を合わせただけで、手も握っていないのだから、家内がどんな女性なのかは全く知らなかった。誠に奇妙な結婚ではある。・・・・・・・結婚式が終わるとすぐに新婚旅行に出発した。・・・・・・・緊張しっぱなしの1週間の新婚旅行を終えて、新居のアパートに帰って来た。疲れもあったので、その日の晩御飯は外食にした。・・・・・・・次の日、新婚旅行モードから平常の生活モードに嫌々切り替えて仕事に出掛けていった。・・・・・・・そして夕暮れ時、僕は仕事から帰ってきた。これから晩御飯だ。謂わば「最初の晩餐」が始まるのだ。テーブルに着いてから家内が申し訳なさそうに出してくれた料理は〈目玉焼き〉であった。家内は他人行儀な言葉遣いで言う。「すいません・・料理、得意じゃないんで・・頑張って勉強します」出会ってすぐに結婚した2人である。恥ずかしさと遠慮があって当然なのだ。料理が上手くないなんて、謙遜するのも中々塩らしくていいじゃないかと思ったのだが、それは謙遜でもなんでもなくて、本当に料理が下手クソだと分かるのに日数は掛からなかったのである。・・・・・・・あれから数十年が経ち、僕の前でもタマに〈オナラ〉をするほどに変貌した家内ではあるが、変貌したのはそれだけではなくて、料理の腕前も相当なもので、今では作れないものがないほどのレパートリーを持っているのである。
コメント