息子がトイレットペーパーホルダーを手に持ってトイレから出てきた。
「父さん取れた～」
ホルダーが外れて落ちたようだ。壁に両面テープで貼るタイプのホルダーだ。息子が申し訳なさそうに言う。
「直る～～？」
「工具箱に両面テープがあっただろ？あれを使やぁ直るだろう」
・・・・・・・
「これ～？」
息子が両面テープを持ってきた。
「おうこれこれ」
それは、かなり前に買った黒い色の両面テープで、厚みがあってネバネバしたゴムのような材質で出来ていた。早速、短冊切りにした何枚かの両面テープをホルダーの裏側に貼り付けて、タイル地のトイレの壁に押し着けた。
「よしっ❗️直ったぞ～」
素早い対応に我ながら満足する。
・・・・・・・
ところがである。2・30分すると剥がれて落ちるのだ。何度か繰り返して貼り着けてみたがダメなのだ。どうやら両面テープに問題があるようである。ゴムのような材質なのでホルダーの重みでジワ～ッと剥がれてしまうのだ。
剥がれた痕が黒くなってタイルにこびり着いている。爪でカリカリしても綺麗に取れないので、今まで使った両面テープを丸めて、タイルにネチャネチャと、何度も粘着を繰り返したら徐々に黒い残骸が取れていった。
タイルは綺麗になったが、結局、両面テープでの修理は諦めて、新しいホルダーを買うことにした。
・・・・・・・
次の日の朝である。トイレから家内が僕を呼ぶ声がする。
「父さん❗️チョッと、来てぇ～」
「えぇ～？なんだよぉ」
「あれなに？あれっ❗️ウ〇コ？」
「はぁ～？」
「ほら、これよこれっ❗️」
家内が指差したトイレの手摺の上には、確かに黒いウ〇コの塊のような物が乗っかっている。
「誰かウ〇コ置いたのぉ？」
「こんなとこにウ〇コなんか置くわけないじゃないかぁ」
「じゃあ何よこれ～気持ち悪い」
僕はもう１度よく見てみた。
「あっ❗️な～んだぁ、分かった分かった❗️」
「えっ❓️何よぉ～」
・・・・・・・
それは前日の両面テープの塊だった。タイルの汚れを落としたあとに手摺に乗せておいたのを取り忘れていたのだ。
家内が呆れた声を上げた。
「もぉ～～っ❗️父さんったらいい加減にしてよぉ、ウ〇コかと思ったじゃない❗️」
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