No.128【パーキングブレーキ】

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当時の乗用車のパーキングブレーキは、座席の横にあるバーを引いてブレーキを掛けるというのがまだ主流だった。
ハンドブレーキとかサイドブレーキとか呼ばれた。
そのころ、従妹の女の子が念願の新車を買ったのだが、そのクルマには最新の装備が施されていて、パーキングレーキに足踏み式のものが採用されていた。
納車された日、ルンルン気分の彼女は、新車に乗ってすぐに買い物に出掛けることにした。
運転席に座ると車内は新車の香りでイッパイだ。
《さぁ~て、しゅっぱ~つ!・・ブレーキを踏んで、エンジンを・・》
「キュルルル・・ブルンルルルル・・・」
《ギアをDレンジに入れて・・と・・で、サイドブレーキを・・サイド・・ん~?・・ん?・・サイドブレーキが無いじゃん・・最新型だからないんだな。よしスタート❗️》
そうして彼女は走り出した。
《えぇ~?なにこれ、走らないわねぇ・・まだ新しいからこんなもんかな》
チョッと気にはなったのだが、彼女はそのまま走り続けた。やがてタイヤから煙が出始める。
周りのクルマがビービーとクラクションを鳴らすので彼女はクルマを停めた。
嬉しさの余り、納車の時の営業マンの説明を上の空でしか聞いていなかったツケは大きかった。足踏み式のパーキングブレーキを解除せずに走ったその新車は、1発でブレーキパッドを焼き付かせてしまい、納車のその日にディーラーに入院する羽目になってしまったのだった。

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