No.240【爪楊枝】

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食器棚のいつものところに〈爪楊枝〉がないので家内に訊ねた。

「お~い!爪楊枝がないぞ~」
「えぇ~食器棚に入ってるでしょう?」
「無いぞ~」
「あるわよ~こないだ爪楊枝を補充したんだから~」

そう言いながら食器棚の前までやって来た家内が棚の3段目に手を伸ばした。

「ほら~あるじゃないの~」
「そんな、急に上に上げたら分からんわぃ!1番下が定位置だろ」
「いいじゃん別に」
「良かないよ!爪楊枝、出世させて高いところになんか上げなくていいわっ!」

家内に掛かると、あらゆる物が住所不定になるのだ。

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