No.172【アナログカメラ】

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ウチには古いカメラが沢山ある。銀塩カメラ、とか、フェルムカメラなどとも呼ばれている。僕は〈写真〉というよりも〈カメラ〉が好きだった。だから写真は下手だ。
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〈Canon―FTb〉は、高校生の夏休みにアルバイトをして買ったヤツだ。初めての自分の1眼レフカメラだった。もう嬉しくて嬉しくて、用も無いのにいつもカメラを持ち歩いていたものだ。

〈Nikomat―FT〉は父から譲り受けたものだ。僕がバイトでCanonを買った時、父が言った。

「お前、Nikonのボディだけを買えば、父さんの交換レンズが自由に使えたのに、馬鹿がっ!」
《いやいや、息子は父親とは違うカメラが欲しかったんだよ》

〈OLYMPUS―OM1〉は、僕が東京で生活していた時に買ったヤツだ。中央線に乗っては、中野駅の近くにある中古カメラの専門店によく通ったものだ。そこで買ったカメラだ。

それぞれのカメラには、それぞれの魅力がある。

後悔しているのは、1度は手にした名機〈PENTAX―SP〉を手放してしまったことである。

試しに家内に訊いてみた。

「NikonとCanonとOLYMPUSの中でどれがいい?」
「はい、OLYMPUS❗️」

家内が即答した。〈OLYMPUS―OM1〉は、当時、小型なのがセールスポイントのカメラだった。女性受けがいいのかもしれない。

最近、若い女の子の間で、アナログカメラが人気らしい。女の子がアナログ1眼レフカメラを首に掛けている姿は実にカッコ良くて、街でそんな姿を見掛けた時には、《あの子のカメラはなんだろうか》と、実は1人密かに痺れまくっているのである。


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