No.185【見舞い】

Uncategorized




母が若い頃である。親戚の義叔父さんが〈痔瘻〉で入院したというので御見舞いに行くことになった。

「お義母さん、ちょっと義叔父さんのところへ御見舞いに行ってきます」
「あぁ頼むわ、よろしゅう言っといてねぇ」

母は、近くに嫁いでいる義妹を誘って2人で病院へ向かった。

・・・・・・・

病室は6人部屋だった。義叔父さんはベッドで眠っていた。

「義叔母さん、こんにちは・・義叔父さん、どんな案配ですか?」

母は付き添いで来ている義叔母さんに挨拶をしながら〈果物かご〉を手渡した。
この義叔母さんは、物静かな義叔父さんとは真逆で、男のような荒っぽい性格だった。
「まぁ!ワザワザありがとねっ!おとうさん!〇〇ちゃんと☆☆ちゃんが来てくれたよ❗️起きなさいや❗️」

大きな声で義叔父さんを起こしてしまった。

「義叔母さん、起こさんでもよかったのに・・義叔父さんこんにちは、どんな案配です?・・痔・・」

すると母の言葉を遮って、周囲の迷惑も憚らずに義叔母さんは大声で話し始めた。左手を上にあげて握り拳を作り、親指と人差し指の間を肛門に見立てて、右手人差し指でそこを指差しながら、大きな声で説明をする。

「ここにケツの穴がありましょう!ケツの穴がっ❗️このケツの穴の周りに2つも穴が開いてしもうてなぁ!そっから膿が出てケツの穴の周りがベトベトになってのぉ、始末におえんのじゃ~❗️褌を洗濯しても洗濯しても間に合やぁせんでぇ❗️」

母たちは下を向いて吹き出しそうになるのをジッと我慢した。

コメント

タイトルとURLをコピーしました