
小学校5年生の時である。
5年生と言えども、男子も女子も異性にはもうスッカリ興味を持っている年頃なのは当然であった。無論、女子のほうが断然早熟ではあるのだが・・・
男子はと言えば、5年生になってもまだスカート捲りをするヤツがいるくらいだったのだから、昔も今も、男子の異性に憧れる表現方法は幼児の頃から殆んど進歩がないのだ。
そんなある日、どうしたことか、クラスの男子と女子でハイキングに行こうという話が持ち上がったのだった。クラスには、ハニかんでばかりの男女間の空気が充満しているような時代なのだから、まず考えられないような話だった。
結局、男子側は僕を含めて6人、女子側には、クラスのマドンナNo.1とNo.2の2人を含む6人というメンバーに決まったのだった。
行き先は遠足でも行くことがある〈山〉になった。その山は小学校からも見える山で、標高300m強の、それでもその界隈では1番高い山だった。
・・・・・・・
やがてハイキングの当日がやってきた。僕は集合場所の公園に向かった。
公園には、リュックを背負い水筒を持ったハイキング姿の女子たちが既に集まっていた。僕は恥ずかしさに堪えながら声を掛けた。
「おはよう~・・・」
姉御肌の女の子が切り返した。
「おはよう~〇〇くん!・・〇〇くんひとりぃ?」
「うん・・・」
「他の男子はどしたん?」
結局、出発時間を過ぎても、他の男子は誰ひとりやってこなかったのである。僕は女の子達に問い掛けた。
「ハイキング・・どうする?」
すると女の子達は口々に言うのだった。
「もうアタシ達だけで行こうよ!」
「そうしよ、そうしよっ❗️」
「なによっ❗️★★くんたちったら!約束したのにねっ❗️」
「行こ行こっ❗️」
そうして、僕ひとりと6人の女子とで山に登ることになったのだった。僕が隊長になってしまった。
・・・・・・・
標高300m少々といっても結構キツイものがあったし、こともあろうに先導する僕が道を間違えてしまったために、道の無い林の中を歩かなければならなくなったので穴があったら入りたいくらい自尊心にキズが付いた。
それでも女の子達は付いて来てくれたのが幸いだった。
暫くの間、木々や藪の中を歩いてやっとマトモな登山道に出た時には皆んなホッとして声を挙げた。
「わぁ~~〇〇くん!道に出たよ~っ❗️」
「ほら、この看板にあと500mで山頂って書いてあるよ!」
・・・・・・・
先頭を歩く僕の目に目的地の展望台が見えてきた。
後ろを振り向いて僕は女子達に伝える。
「展望台が見えてきたぞ~」
女子達も喜んだ。
「わぁ~っ!」
「やったねっ❗️」
すると突然、登山道の左右から僕達に向けて声が挙がった。
「わ~い❗️」
「お前ら遅いぞ~っ❗️」
「なにしとったんじゃ~っ❗️」
大声で囃し立てている。集合場所に来なかった残りのヤツら5人だった。
どうやら大将格の★★にそそのかされた4人が★★に従わされたようだ。
要するに、どいつもこいつも、ハイキングに来てまでも、何か悪戯をしては遠くから囃し立てる幼稚なスカート捲り的なことしか出来なかったのであった。
結局、女子達に嫌われただけである。
そして、男ひとりで女子達を先導した僕に、女子やマドンナが好感を持ってくれたのかどうかは、分からない。
(マドンナ:アイドルのこと)
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