No.334【邂逅の夏①】

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この話はあまりしたくはないのだが・・・〈note〉にカミングアウトすることにする・・・

もう数十年も昔のことだ。

若い頃は恋愛も経験したのだけれども、その恋愛の顛末は悲恋に終ってしまった。

僕はもう恋愛は出来ないだろうと思っていたし、結婚という考えはもう頭の中には無かった。

失恋の痛手を心に抱えながら、故郷を遠く離れた東京の地で青春の日々を送っていたのだが、気が付けば30歳という年齢になってしまっていて、もう〈青春の日々〉などとは言えなくなっていた。

・・・・・・・

そんなある日のことであった。故郷の親から1通の手紙が届いたのである。封を開けてみると何枚かの便箋と一緒に3葉の写真が出てきた。

それは若い女の子の写真で、文面によれば、その子と1回会ってみないかということだった。要するに〈見合い写真〉が送って来たのである。

写真の女の子は23歳で、当時流行りのソバージュの髪型をしていて、優しそうな印象で普通の顔立ちだ。

僕は見合いをする気なんかサラサラないので、手紙と写真は机の引き出しの中に放ったらかしになっていた。

ところがそれから2・3日経った頃から、ヤイのヤイのと親から電話が掛かってくるようになったのである。会うだけでもいいから1回帰って来いというのだ。

母親が特に熱心なのだ。

「ねぇアンタ!別に結婚しなくてもええんじゃからね・・23歳のええお嬢さんよ!それからね、最近撮ったアンタの写真、コッチに送っといてチョーダイよ」

「分かった分かった❗️じゃぁ、会うだけだからね・・結婚はせんよっ❗️写真は適当なのを送っとくわっ!」

毎日のように掛かってくる電話に根負けして、僕はとうとう〈見合い〉をする為に、1度帰郷することになってしまったのだった。(つづく)

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