No.538【弾】

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「父さん、格闘になったら、実際のところはボクシングが強いだろうねぇ」

息子はボクシングをイチオシした。

「そうだよなぁ、ボクシングとか空手とかは強いだろうなぁ・・でもなぁ、剣道の段持ちに棒切れを持たせたら手に負えんらしいぞ」

「そうなん?」

「そりゃそうよ、距離が稼げるだろ、相手が入ってこれないし、スピードも凄いらしいしなぁ」

「でも流石にピストルには勝てんよね」

息子はピストルの話まで持ち出してきた。

「そりゃ、ピストルと棒キレじゃ勝負にならんわぃ」

・・・・・・・

ところで、日本のテレビや映画では、よく片手でピストルを撃つシーンがあるが、あれはリアルではないと思う。撃った時の反動が凄いらしいからだ。

25口径なら片手持ちでなんとかなるかもしれないが、38口径以上なら両手で持って、出来れば腰を落として、腕を真っ直ぐに伸ばして構えるのが基本みたいである。

・・・・・・・

更に話を続けた。

「で、刑事ドラマなんかで撃たれるシーンがあるだろ」

「うん!」

「でも、なかなか死なんだろ、3発くらい撃たれても」

「暫くのあいだ喋ったりするよね」

「25口径なら分かるけど、38口径以上で3発も撃たれたらパタッ!と一瞬で死体になるんじゃないかぁ?たぶん・・憐れなもんよ」

「そうじゃねぇ、戦争の記録フィルムでそんな感じの見たことあるわ。でさぁ、38口径ってなに?」

「38口径っていうのはな、0.38インチってことでアメリカ表記、径が約9mmじゃ。mmはヨーロッパ表記。リボルバー(回転式)じゃインチ、オートマチックじゃmmっていう言い方をするみたいだな。オートマチック用じゃ9mmパラベラム弾ってのが有名だな」

完全にピストルの話になってしまった。

「でな、父さん若い頃、モデルガンとかガスガンが趣味だったんでチョッとだけ詳しいんだけどな、銃のこと。銃にも弾にも色々な種類の物があってなぁ」

「父さん、100丁くらい持ってたんでしょ?」

「ハハハッ! 100丁はチョッとオーバーだけどな・・でな、ピストルもパワー競争みたいな時代があってな、〈マグナム弾〉っていう弾が出て来たんじゃ。それを撃つ銃もあるんじゃ。映画「ダーティハリー」でクリントイーストウッドが持ってたのが44マグナムじゃ! S&W M―29っていう銃でな、弾の径が 0.44インチ、11.2mmもあるんじゃ! 狩猟用に開発されたっていうけどなぁ、ピストルで狩猟するかぁ?」

「〈マグナム弾〉ってなに?」

「火薬の量を増やしてパワーアップする弾でな、弾頭が平らにカットしてあるんで、人に当たったらドガッ❗️とダメージを受けるんじゃ!身体に開く穴もデッカクて内臓の抉りかたも物凄い訳よ。弾は回転しながら飛んで行くだろ?身体の中でも回転しながらダメージを与える訳だ」

「お~怖わっ❗️」

「・・ま、357マグナムとか44マグナムなんて、至近距離で撃ったら1発で即死だな。頭になんか当たったひにゃぁ・・・」

「・・当たったひにゃぁ?・・」

「頭がスイカのように木っ端微塵に飛び散るだろうな」

「ぅわぁぁぁ~~~」

「1発で仕留めて反撃されんようにっちゅう発想なんだろうが、人間に使うような銃じゃないかもな・・賛否両論らしいけど」

「オレ、否❗️」

「確かにやらないとやられる世界ではあるけどなぁ・・そうそう、ベトナム戦争の時になぁ、アメリカ軍が使ってた〈M―16〉っていう自動小銃があったんだけどな・・・連射も出来るんじゃ・・ところが使う弾が細目の 5.56mm口径で、飛距離を伸ばすために弾頭がトンガってたんだ」

「空気抵抗が少ないんだね!」

「そうそう、でもな、欠点があったんじゃ」

「え?なんで?」

「弾が細くてトンガってるから、敵に当たった時にスパッ!と貫通したり、身体の中の破壊が少ない分、すぐに死なないことがあって、死ぬまでに反撃されて逆に撃ち殺されるってことが結構あったらしいんだよ」

「そうなんだぁ❗️」

「だから1発で仕留めるという〈マグナム弾〉の発想が生まれたのかもな」
「父さん、世の中に銃は必要なんだろか?」

「まぁ賛否両論だろうけど護身用には必要だっていう考え方は分かるような気もするけど、それにしても〈マグナム〉なんて馬鹿げたものは要らんと思うけどなぁ」

「でも撃ち返されたらコッチが殺られるし・・」

「ん~~~~難しい問題だな」

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